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2016年4月

2016年4月25日 (月)

とうれん

糸島弁シリーズ百九十五。とうれん。
『はしまん むこうな どこかいな とうれんの かかったごとして よーみえんが』『そやなー てまえが ふなこしで おくんみぎんほーが かやさんや なかな』「羽島の向こうはどこだろうね。霧がかかったみたいで良く見えないけれど」「そうだねえ。手前が船越で奥の右の方が可也山じゃないかい」

Hasima

今回は最初に例文につかった風景写真をご覧にいれときましょう。二丈福吉の羽島です。

さて、とうれん。「志摩町史」「さくらい方言集と歴史」の両方ともに「とうれん=霧」と記述がある糸島弁です。「なして霧がとうれんやぁ?」と相当に考えました。それでなんとかひねり出したとが次なる結論。

【とうれん】霧。由来は「透簾(とおれん:霧模様をすだれを透かして見た景色に例えた?)」でよかろうかと考えとります。最初に簾(れん)を思いつき、遠簾も通簾も候補にあげとったとですが、最終的に拾塵和歌集に「螢火透簾 :ともす火は 程なく消て こすのとに 螢みたるる 風そすすしき」とあったり、新明題和歌集にも「窓透簾:あつめえぬ我をいさめて玉だれに過ぐる蛍も光みすらん」と出てきたので「透簾」と決めつけました。

【簾:れん・すだれ】細い蘆や細く割った竹を糸で編み垂らし、部屋の内外を隔て、また日光などをさえぎるのに用いる(大辞林)。

ついでに、羽島については「筑前国続風土記(1709年)」にも記述があるのでご紹介いたしておきましょう。添付図は中村学園大学図書館電子アーカイブからお借りしとります。

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ついでのついで。和歌ついで。この筑前国続風土記に記された、
「下ひもの 夕さりかけて ときつれば 君がみそぬふ いとの濱みゆ」という古歌についても、MISTAKER流の解釈でやっつけときましょう。MISTAKERは(やはり簾の)御簾定家とも書くんでございますよ。ご存知なかったでしょ。ははは。

下ひもの;小袖の上に結ぶ帯。枕詞:下に掛かる
下紐解く:女が男に身をまかせること。男女が隔てなく心の打ち解けること。
夕さりかけて:夕方にかけて
ときつれば:解くと時(解けば、時が経てば)
君がみそぬふ:君が御衣(みそ)縫う
いとの濱みゆ:糸と怡土の濱(深江から西の海岸でまさに羽島一帯)

以上、広辞苑や大辞林を参照しとります。小難しくて長ったらしい「透簾」編となりました。ご容赦ご勘弁であります。

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2016年4月18日 (月)

みずどうせ

糸島弁シリーズ百九十四。みずどうせ。
『あーたんがたの むらの みずがかりは どげんふうな』『たごしもありゃ みずどうせもありで いろいろばって どっこも まぁまぁ ひあがらんで やれとるごたる』「あなた方の村の田の水掛かりはどうなってるの」「田越しもあれば底樋を通すのもありで、いろいろだけどまずまず干上がらずに出来てるよ」

【水掛かり】田の配水、水利灌漑の様子。
【みずどうせ】水通畝?水通しの訛り? ため池から底樋をつかった配水のこと。底樋はトンネル式配管。水利そのものを指すこともあるごたります。
【田越し】田から田への掛け流し配水。掛け越し灌漑。

どれも農家語で農業専門用語でしょうが、辞書引いても出て来ない言葉なので「当てっぽす」な解釈をしときました。間違っていたらご勘弁。このへんは実体験がないもんやけん、なかなかに難しいです。

写真は津和崎の山太郎溜池と可也山。

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2016年4月11日 (月)

道目木

糸島弁シリーズ百九十三。道目木。
『こふじい うめみいく ときい みちのめのきて かいた ばすていの あったが ありゃ どえんか いみやろかね』『小富士に梅を見にいくときに「道の目の木」と書いたバス停があったけれど、あれはどんな意味だろうね』

珍しく漢字のタイトルになりました。すこし前に「糸島地区難読地名一覧」ていうとを書いたときに、チラッと「道目木の語源は何やろ?」とは思うたとですが、地名の語源を調べだすと、それこそ方言よりもそれ以上に歴史やら姓氏やら絡んでオオゴトになりそうなんで止めときました。

ところがたまたま「ことばの由来:堀井令以知:岩波新書」という本を読んでいると、こういう一文にぶつかりました。

「川の瀬をザザ、水門をゾー、堰をドンド、下水の水溜りをドブ。さわざわした声や音をザワメキという。泥目木は小さい谷川の流れが少し淀んでから急に落ち込んでいるところ。川の水が狭く浅く流れているところにはゾーメキ。ドドと音がして水の落ちるところがドドメキと呼ばれる」

ここまで読んで、「ああ、これか!」とすぐに道目木が思い浮かびました。まさに田んぼを挟んで南に泉川が流れとりますから、まずはこのへんから来た地名というのは間違いないところでしょう。

【道目木(どうめき)】水の音から来た水田地名。泥目木・ドドメキ・ゾーメキ等々どれもその田の呼び名になっていそうな感じがします。
志摩町史によれば、小富士は辺田からの改称で少組合の相川や堤之根などとすべて水に関係がある地域のようです。また小富士の字名に元々「道目木」はなく「道又」と記録されているだけです。その道又と道目木が同じところか、もし同じところだとしても、その呼び名の変化の過程ははっきりしません。もしかして昭和バスが勝手適当に停留所の名前にしたとか・・・。ははは。

とりとめのない話で、しかも長たらしい記事でご容赦。すんまっせんです。

Domegi01

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2016年4月 4日 (月)

てちんご

糸島弁シリーズ百九十二。てちんご。
『てちんご ばっかし せんと はよ ごはん たべて がっこ いきない おくれるばい』「手遊びばかりしないで早くごはん食べて学校に行きなさい。遅れるでしょう」

【てちんご】手遊び。人や地域によっていろんなバリエーションがあるごたって「てちゅうご」「ててんご」「ててんごー」とも聞きます。自分とこは「ててんご」て言いよりました。方言由来は古語の「ててんごう」で、辞書的には手で物をもて遊ぶこととあります(大辞林)。古語があんまし変化したり訛ったりせんで残っとる例のひとつです。

写真はタイトルと関係なかですが、小富士の「でーこ」干し。すんまっせん、しょうもないダジャレで・・・。

Kofuji06

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