2017年5月22日 (月)

あしなか

糸島弁シリーズ二百四十九。あしなか。
『まごん もちふみい あしなか さがしたっちゃが さすがい なかったばい』『のうかの とっしょりじいさんやったら まだ あみきんなるかもしらんな』「孫の餅踏み祝いに足半探したんだけど、さすがに売ってなかったよ」「どこかの農家のお年寄りならまだ編めたかもしれないね」

【あしなか】足半・足中。踵部分がない藁草履。もともとは足のつま先やら踵が地面をつかむけん滑りにくーなって仕事がしやすかったとのごたりますね。

ところが不思議なことに、最近はけっこうネット販売でも見かけるとですが、その売り口上が「歩くたびに青竹踏みの効果があり、踵をつけないように浮かすのでふくらはぎの運動にもなります」とか「足半草履は滑りやすいので、特に履き始めはご注意ください」なんて無茶苦茶なことが書いちゃります。さすがにいいかげんすぎるっちゃなかと?!ですね。

写真は「伊都国歴史博物館」で写さしてもろーたもんです。

Asinaka

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2017年5月15日 (月)

せんぶき

糸島弁シリーズ二百四十八。せんぶき。
『おせっくい せんぶきんぬた つくってみたばってんが すみそん すゆーないかいな』「お節句にせんぶきのぬた和えをつくってみたけど、酢みそが酸っぱくないかしら」

【せんぶき】分葱(わけぎ)のこと。なして「分葱=せんぶき」になるかを少し調べてみました。「角川俳句大歳時記」に、せんぶき=胡葱(あさつき)=浅葱(あさつき)=糸葱(いとねぎ)=千本分葱(せんぼんわけぎ)とあります。この千本分葱の本が略されて千分葱となり「せんぶき」、あるいは単に「浅葱(あさつき・あさぎ)」を「せん」と音読みしただけやろかな~とも思うとります。
ちなみに、季語は春。ひな祭りや端午の節句の行事食になっとる地域もあるようです。

写真は博多では定番のおばいけぬた。

Senbuki

つづいてムキ(メンボやったかも?記憶喪失)ぬた。

Senbuki02

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2017年5月 8日 (月)

おつけ

糸島弁シリーズ二百四十七。おつけ。
『おつけんぐい あおさでん ひらいい いってこ びなでん ころがっとると なお よかっちゃがな』「味噌汁の具にあおさ海苔でも拾ってこよう。ニナ貝でも転がっているといいんだけどね」

【おつけ】味噌汁。御御御付《おみおつけ》の略。もともと「おつけ」は宮中の女房詞で本膳で飯に並べて付ける意から、吸い物の汁。おしる。おつゆのことだったようです(精選版日本国語大辞典)。

写真は福の浦方面からの可也山と「拾いモンチ」して来たニナ。

Fukunourakara

Bina


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2017年5月 1日 (月)

おしたじ

糸島弁シリーズ二百四十六。おしたじ。
『きょうの よりで ごちそうなった おしたじの えらい おいしかったっちゃけど だしゃ なんやったっちゃろね』『めずらしゅう やきはぜ つこーてみたて いいよんしゃったよ』「今日の寄合でご馳走になっtお吸い物がずいぶん美味しかったんだけど、出汁はなんだったんでしょう」「珍しく焼きハゼ使ってみたとおっしゃってましたよ」

【おしたじ】(味つけのもとになる)醤油の丁寧語。煮物のつゆのこと。
不思議なことに、接頭語の「お」がとれて、たんに「したじ」となると、意味の範囲が広がって以下のとおり(日本国語大辞典)。
【したじ】醤油。天ぷらやそばのつけ汁。だし汁。

写真は自家製の焼きハゼです。ハゼ釣りでけっこう大漁だったんですが、あまりにもミニサイズだったので、ほとんどを「焼干し」にしました。

まずは腹をだしたあと素焼きにして

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そのまま数日陰干しにしてできあがり。雑煮の出汁に使いました。

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2017年4月24日 (月)

くうず・こうぞう

糸島弁シリーズ二百四十六。くうず・こうぞう。
『じいちゃんが いけいおるとが くうず やまいおるとが こうぞうたいて いいよんしゃったが なんの はなし かいな』「お爺さんが池に居るのがクウズ。山に居るのがコウゾウたいて言ってたけど何の話だろうね」

若い人たちにはさっぱり?な話でしょうね。だいいちクウズはともかくコウゾウを見かけることはほとんどないでしょうから。

【くうず】亀の総称。広辞苑にも大辞林にも収録がないとですが、日本国語大辞典によれば「重訂本草綱目啓蒙1847年」という古い資料に「石亀の異名」とあるようです。けっこう古い言葉がそのまま方言として糸島地区に残っとるとが面白かですね。
【こうぞう】フクロウ類の総称。名前の由来は鳴き声の「小僧♪」「仏法僧♪」の聞きなしからでしょうか。

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2017年4月17日 (月)

てぼ

糸島弁シリーズ二百四十五。てぼ。
『なばなつみ いくとい おしおいてぼ ぶらさげてって どげんするとね はなてぼ もってこな』「菜の花摘みに行くのにお潮井籠ぶら下げて来てどうするの。花籠を持ってこないと」

【てぼ】手籠。手で持てる大きさの竹製の籠。
テボにもいろいろありまして♪ですから、ちゃんと「何てぼ」と指定せん方が悪かとです。
日本髪の後ろの「たぼ」、玉網の「たも」、手籠の「てぼ」・・・ぜ~んぶとりあえず共通して「丸いもの」というのがありますが、果たして語源がここらあたりからのもんかはわかりません。

まずは花籠料理。

Hanatebo

お潮井てぼ。

Zyusyokinen08

昔の八百屋や魚屋は、商品の隙間に置いたり天井からぶらさげた竹かごが金庫がわりになっとりましたね。このステン籠は篠栗八十八ヶ所霊場のお賽銭入れ。

Osansenkago

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2017年4月10日 (月)

せいつからかす

糸島弁シリーズ二百四十四。せいつからかす。
『はなみのかんじば まかされてくさ ばしょやら べんとうやらの だんどりで たいがい せいつからかいとるとたい』「花見の幹事を任されてね、場所や弁当の手配で弱りきってるんだよ」

【せいつからかす】弱る・困る・疲れること。「せい」は精気精力の精でよかとやなかですかね。勢力の勢もちっと関係しとるかも。「つ(ら)からかす」はもちろん疲れる、疲れさせる。また地域や人によっては「せいつらからかす」「せいつらかす」とも言いんしゃるですね。(日葡辞書:九州方言→ポルトガル語対訳辞書:1603年刊)にも、セイヲツカラス(Xeiuo tçucarasu)で出てくる古い九州方言のごたります。

さて、どこで桜見しんしゃるかな。笹山公園やらはどげんですか。

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2017年4月 3日 (月)

すっちょうない

糸島弁シリーズ二百四十三。すっちょうない。
『あんくらい すっちょうなかほうが しょくにんらしゅーて によーとるよな じっさい てききやしな』「あれくらい無愛想な方が職人らしくて似合ってるよね。実際に腕利きだしね」

そげんです。自分も含めて、しゃべくりよるときゃ手は止まっとりますもんね・・・というわけで、

【すっちょうない】無愛想。不親切。似た博多弁やと「あいそもこそもない」というやつですね。
「すっちょうない」は「す・ちょうない」と分解できそうです。「す」は素で「素顔」「素うどん」「素っ裸」の素でそれだけの意味。また少ししかないの意味にもとれます。

問題は「ちょうない」の「ちょう」が何かということ。で、なんとか、むりやりこじつけてみますと、
1:「素丁ない」一人前の愛想がない。
2:寵愛の寵で「素寵ない」。可愛げがないとしてみました。
3:「素潮ない」。「潮」には愛敬や情趣の意味があるげなです(広辞苑)。これは自分もまったく知らんかったです。

Marukyo

さて、この国宝の花紋鏡の手利きぶりはすごかですね。渡来品?国産?

ちなみに、同じ意味似た発音で「すったくれ」「すたくもん」ていうとがあって、以前こちらに書いとります。ただ根が一緒の言葉か別の生まれの言葉かは判断しきりません。

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2017年3月27日 (月)

ほとめく

糸島弁シリーズ二百四十二。ほとめく。
『えらい ほとめかれて おごっつぉの でてったけん なんかいなと おもうたら わが たんじょうび やった』「ずいぶんともてなされてご馳走が出てきたもので、いったい何だろうと思ったら自分の誕生日だったよ」

忘れとったとが自分の誕生日でよかったやなかですか。これが嫁さんとやったら離縁話になりますばい・・・ということで、

【ほとめき】おもてなし。心のこもった歓待。由来は「熱《ほとり・ほとおり》」でしょうかね。まさに熱烈歓迎というところでしょうか。
「物類称呼《ぶつるいしょうこ》:越谷吾山著:1775年刊」という諸国方言辞書に「他人を馳走することをほとめくといふ」と収録されとります。こうしたたいがい古い方言が今でもまだ広く福岡都市圏でも使われとるとが面白いですね。

写真は甘木電鉄甘木駅横にある朝倉市の観光案内施設「ほとめく館」。

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2017年3月20日 (月)

じげ

糸島弁シリーズ二百四十一。じげ。
『あんまし ほうげんの なかごたるが あーた どこでな』『いやー ちっと とおくん がっこうに いったばってん ほんなもんの じげの じごろうです』「あまり方言が出ないみたいだけど、どこ出身?」「いえいえ、少し遠くの学校に行っただけで本当の土着で地元民ですよ」

【じげ】地下人《じげにん》、地元民、土着。日葡辞書(九州方言→ポルトガル語対訳辞書:1603年刊)にも、Gigue giguenin giguexu(地下・地下人・地下衆):町や村の土着の人、そこの住人と収録されとります。相当に古い方言のごたりますね。
【じごろう】地五郎。五郎は地下を人らしく添えたもの。与太郎や与作、抜作のたぐいですね。

遠くの学校に・・・というので思い出したとですが、テレビドラマの「半沢直樹」にも出演しとった須田邦裕さんは、たしか姫島から東京の大学に進んだ第一号やと記憶しとります。写真は姫島を舞台にした最初の主演映画の「ここに、幸あり」

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2017年3月13日 (月)

観音寄り

糸島弁シリーズ二百四十。観音寄り。
『おばあちゃんから でんわの あって かんのんよりで いもにば いっぱいつくったけん とりにきいてよ』『なん かんのんこうやら こうしんさんの まだ ありようとかいな』「おばあちゃんから電話があって観音様の寄合で芋煮をいっぱいつくったから取りに来なさいってよ」「なに、観音講や庚申様がまだ開かれているのか」

【観音寄り】元々は観世音菩薩信仰のための信者団体の集まりやったようですが、今ではもう解散状態か単に年長者の親睦のための寄合になっとるとこが多かっちゃなかでしょうか。観音講や伊勢講、あるいは庚申様のお籠もりにしても(集会の名目は残っていても)同じような状況のようです。
ただ行楽シーズンの篠栗町などを歩くとお遍路姿の団体さんはよく見かけるので、地域によってはまだお大師講や寄りは残っとるとでしょうね。

【芋煮】ここでは里芋多めの「がめ煮」のことです。ついつい個人的な好みを書いてしまいました。

写真は篠栗霊場の観音さんと自製手製のがめ煮。

Kannonko

Imoni

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2017年3月 6日 (月)

うだく

糸島弁シリーズ二百三十九。うだく。
『はなみで さんざん よいくろーて しもーて さくらんふとかみきば うだいて ちらっとん うごかせんとば つれて かいろうちゃ たいがい おうじょうこいたとぞ』「花見でさんざん酔っ払ってしまい、桜の木の太い幹を抱いてちっとも動きそうにないのを連れて帰るのに本当に困り果てたよ」

【うだく】抱《だ》くこと。抱《だ》くの古語が抱《うだ》く。もうこの方言も戦前生まれのお年寄りぐらいしか使われんとやなかでしょうか。もしかしたらすでに消滅語で、かろうじて「そういや、うだくて言いよったな~」というくらいのもんかもしらんですね。

さて、花見は梅見やったとでしょうか。それとも桜見の宴会?写真は小富士と丸田池。

Kofuji09

Marutaike

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2017年2月27日 (月)

ひぐれさぐれ

糸島弁シリーズ二百三十八。ひぐれさぐれ。
『むすめんこが こげん まちはずれん ひぐれさぐれに そうつくもんじゃなか はよー かえって まま たべない』「女の子がこんな町外れの夕暮れにうろつくものじゃないよ。早く帰って御飯を食べなさい」

余計なお世話のごたるばってん、ほんなごとですよ・・・というわけで、

【ひぐれさぐれ】日暮れ、夕暮れのこと。「さ暮れ」の「さ」は調子づけの接頭語で、さ夜更くのさ、さ迷うのさ。「日葡辞書(九州方言→ポルトガル語対訳辞書:1603年」にも、Sayo fuqeyuqeba(小夜更け行けば)で収録されとります。もっとも自分はいっとき前まで、さ夜吹く(更けるじゃなく)風と思いこんどりました(恥)。

ついでに、もうひとつの語源説。「夕まぐれ= 夕方うす暗くてよく見えないこと」という言葉もあるので、「ひぐれまぐれ」からの訛りと考えられんこともなさそうです。

しかしまぁそれにしても、福岡の人間は語尾の音が同じ言葉をくっつけるとがたいがい好いとるごたりますね。「ちんだはんだ」「しっちゃんがっちゃん」「ひっちゃらこっちゃら」などなど。

50年ほど前のグループサウンズの「マリアの泉」という曲の歌詞にまさに♪さ迷う街の夕暮れに・・・♪と出てきます。

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2017年2月20日 (月)

すぐる

糸島弁シリーズ二百三十七。すぐる。
『てのごい ぴしゃーと すぐって はちまき しめて いったい なんば そげん はりきっとるかい』「手ぬぐいをぴしりと引っぱり伸ばして鉢巻にして、いったい何をそんなに張りきっているのかな」

【選《すぐ》る】こく。すごく。しごくこと。
なんか意味がすぐピンと伝わらんですね。
【素扱《すご》く】こく。しごくこと。
堂々巡りしとります。
【扱《こ》く・扱《しご》く】細長い物を片手で握り、もう一方の手で強く引き抜くこと。
「大辞林」に、例文として「稲の穂を扱いてもみを落とす」とあります。この例文でなんか気づきんしゃれんですか。そうそう。「藁すぐり」の「すぐり」とおんなじもんです。
またまた「藁」の関連語やったとですが、わざこと遠回りの記事にしてみました。

ついでに、すごいたあとの藁の残りかすを「渋藁《しぶわら》」というとこもあるごたりますね。

Warakozumi

最近どういうわけか「わらすぼ」が入手不足になって、「すぼつき蒲鉾」が「ビニールすぼ蒲鉾」に変わってしもーた店がありました。こちらはまだ本物の藁すぼ。

Subotuki

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2017年2月13日 (月)

そがり棒

糸島弁シリーズ二百三十六。そがり棒。
『そがりぼうの なかと おもうたら うしごやん とばりい つこーとる だれかい こげなこと しとるとは』「尖り棒がないと思ったら牛小屋の戸張り(つっかい棒)に使っている。誰だよ、こんなことをしたのは」

前回の「むすで」につづいて、藁がらみの農具でありますね。

【そがり棒】
先が尖った天秤棒。担《にな》い棒のこと。
そがりは漢字を当てると削り棒ですかね。尖り棒かな。削いで尖った棒であることは間違いなかでしょうね。片方だけ尖った棒と、両端が尖った「両そがり棒」があり、主に輪に結んだ焚きもん柴《しば》や稲束稲藁を突き刺して運んどったようですね。

このそがり棒の言葉調べ、物調べの途中でこんな漢字を見つけました。

Ougo

難しかでしょ。少ない画数の簡単な漢字ですが、まったく意味も読みもわからん文字でした。

【朸《おうご》】荷物にさし通して肩にかつぐ棒のこと。象形文字的に意味をおしはかると、まぁたしかに木の後ろに力が加わっとりますね。

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2017年2月 6日 (月)

むすで

糸島弁シリーズ二百三十五。むすで。
『むすでや なわない ばかしじゃ たいくつかろうけん こんだー しめなわないば おそえちゃろうかね』「結び藁や荒縄綯いつくりじゃ退屈だろうから今度はしめ縄つくりを教えてあげようかね」

【ない】綯《な》うこと。糸や藁を撚《よ》り合わせて一本にすること。

【むすで】(主として)稲を束ねるための細い藁縄、結び藁のことです。
漢字をあてると、結手《むすで》でよかろうちゃ思うとですが、問題はその「手」がどんな手かがはっきりせんとですね。
手綯いか、手綱か、手縄か・・・。あとは「てわら(手藁)・たわら(俵)・たわし(束子)」とも少々関係ありそうな気もしています。

玄関用の正月飾りならよかばってん、こげな「しめ縄」やとオオゴトですたいね。数年前に櫻井神社で見せてもらいました。二見ヶ浦の大しめ縄綯い。

Oojimenawa02

Oojimenawa01

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2017年1月30日 (月)

みちなんがり

糸島弁シリーズ二百三十四。みちなんがり。
『やっとこさ のぼれた ばってんが みちなんがりな あふって はーはーぜいぜい やったばい』「やっとの思いで登れたけれど、道中はずっと 動悸が激しくて はーはーぜいぜいいってたよ」

【道《みち》なんがり】道すがら、道中ずっと、歩いている途中。「なんがり」は「~しながら」の訛りやろうちゃ思うとですが、「長いあいだ」という意味も含まれとるような気がします。

博多ではこの「道なんがり」でなく、同じような意味と用語法の「道くんだり」を使うとが多かようです。「くんだり」は「下り」の変化で、中央からずっと離れたこんな場所までずっとという意味でしょうが、例文に当てはめると糸島弁の「なんがり」の方が「下り」よりも合理的ですね。

はーはーぜいぜいの結果、こげなよか景色に巡り会えました。火山から芥屋方面。

Hiyama

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2017年1月23日 (月)

にごし

糸島弁シリーズ二百三十三。にごし。
『はがまん にごしな らまかないに せんで たまにゃ ふろに いれてんもうか』「羽釜のとぎ汁は牛に飲ませず、たまには風呂に入れてみようか」

【にごし】米のとぎ汁。濁り汁《にごりしる》の略ですかね。若い人には「にごし」や「とぎ汁」どころか、「米の洗い汁」て言うてやらんと意味が通じんかもですね。時代でございます。
古い言葉に「和稲《にきしね・にこしね》=籾をすり落とした稲の実(米)のこと」というとがあるとですが、音声的には近いので「にごし」と関係があるとかどうか・・・。
【らまかない】駄賄《だまかな》いの訛り。駄は牛馬。賄いは飼料食事のこと。
【羽釜】さすがに最近は牛飼っとるとこは見んようですが、羽釜の方は寄り合いやら炊き出しやらバザー会場やらで、たまに見かけるときがあります。

こういう「濁し」なら人間も大歓迎ですたいね。濁り酒。

Hakkaizan_nigori

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2017年1月16日 (月)

ひっちゃらこっち

糸島弁シリーズ二百三十二。ひっちゃらこっち。
『よめんがいが にちれんさんで うちんがいが ぜんしゅうやもんやけん ついつい ひっちゃらこっちい おきょうば となえて しまうっちゃんね』「嫁の家が日蓮宗でうちが禅宗だから、ついついあべこべにお経を唱えてしまうんだよ」

【ひっちゃらこっち】あべこべ。さかさま。結果的に収拾がつかずに、めちゃくちゃ・ちゃちゃくちゃらで大混乱という状況。
似た表現に「ひっちゃらこっちゃら」。自分は「ひっちゃんがっちゃん」と言うごたります。

語源由来は「しっちゃかめっちゃか」の訛りと考えることもできますが、個人的には「彼方此方《あちこち》」を「彼方此方《ひちこち》」と読んでしもーたとが最初やなかかと想像しとります。

写真は嫁方のお寺さんで御神籤。

Omikuzi

御御籤とも書けるっちゃけん、仏さんと神さんを「ひっちゃらこっちゃら」せん方が良か気がしました。

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2017年1月 9日 (月)

すったくれ・すたくもん

糸島弁シリーズ二百三十一。すったくれ・すたくもん。
『あやつぁ むくちで すったくれんの ごたるが たまに ぼそっと はなすと ききゃぁ あんがい あいらしかとな』「あいつは無口で愛想なしのようだけど、たまにつぶやくのを聞くと意外に可愛いとこがあるんだよ」

【すったくれ・すたくもん】無愛想。愛敬がないこと。横着者。語源ははっきりせんとです。ぜんぜんダメの意味の「すったり」や、「廃れ者」と関係があるとでしょうかね。あるいは、何もない「素」と「どんたくれ・へったくれ=愚か者」の「たくれ」の合成語とも考えられそうです。考えられん?やっぱし無理?ははは。

けっこう悪口っぽく使われる表現ですが、例文のようにただ「とっつきにくい」だけで人情気質とはあまり関係がないとかもしらんです。人としゃべくるより、仕事しとる方がよかという職人タイプの人が多かごたりますね。たとえば漁師とか杜氏さんとか・・・。

今でも芥屋杜氏さんは居らっしゃるとでしょうかね>白糸酒造。

Airasika

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