食いもんシリーズ

2017年3月27日 (月)

じゅるあめ

博多の食いもんシリーズその五十六。じゅるあめ。
『ひるやすみい じゅるあめんごとなった うんどうじょうで きっくぼーる しよったもんやけん せんせいに たいがい がられたばい』「昼休みに水飴(ぬかるみ)のようになった運動場でキックボールしてたもので先生に嫌というほど叱られたよ」

【じゅるあめ】水飴のこと。じり飴ともいうごたりますね。爺婆店(駄菓子屋)や紙芝居屋で買ーたり貰ーたりしては、割り箸で練りねりして遊びよりましたね。
もっとも博多弁らしい横綱クラスの「しろしい」の基になった古語「汁《しる・じる》い」の名詞形。似た形で「じゅる田=水はけの悪いたんぼ」や「じり耳=耳垂れ症状」などがあります。

写真は現役のじゅる飴。煮物に甘みや照りや粘りをつけるときに使います。子ども一家が集まったときに小皿で出してみると、子は覚えとったみたいで匙で混ぜて白くしよりました。
まぁ自然食だからと孫にも舐めさせると、最初は不審顔でしたが一瞬でにっこりと・・・。

Mizuame

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2017年2月 6日 (月)

はったい粉

博多の食いもんシリーズその五十四。はったい粉。
『こどもんころ はったいこ たべよったっちゃが どげんして たべよったか おもいだせんと』『うちゃぁ たしか くろざとうと いっしょい おゆで かきまぜよったごたる』「子どものころにはったい粉を食べていたんだけれど、どうして食べていたか思い出せない」「わたしはたしか黒砂糖と一緒にお湯でかき混ぜていたみたい」

【はったい粉】米または麦の新穀を炒って焦がし、ひいて粉にしたもの。砂糖を加えたり、水や湯で練ったりして食べる。麦こがしのこと(広辞苑)
語源としては「はったい粉=はたき(打つ叩く)粉」。

先日の「だごかるい」「がめの葉餅」の関連で調べているときに、青空文庫の柳田國男「団子と昔話」の中に、博多弁(全国的にも散在しとるようです)の「はったい粉」の語源が書いてあったもんで、そのまま引用させてもらいました。

またこの「はったい(粉)」は、「日葡辞書(九州方言→ポルトガル語対訳辞書:1603年」にも「fattai=炒った米や大麦の粉(麦こがし)」で収録されている古い方言であるのも判明しました。なかなか面白い言葉探しでした。

おまけ。日葡辞書でfattaiを見つけ出すときに、「は音」がポルトガル語のローマ字つづりの「fa」に結びつかず、語順探しでけっこう時間を食いました。「か音=Ca」は知っとったとですがね~、ざ~んねん。

Hattaiko

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2016年12月19日 (月)

かて飯

博多の食いもんシリーズその五十三。かて飯。
『かしわめしも うもーて よかばってん たまにゃ ちがーか かてめし くいとーなるな』「鶏ご飯もおいしくていいんだけれど、たまには違う炊き込みご飯を食べたくなるね」

【かて飯】炊き込みご飯のこと。米に魚介、肉、野菜などを加えて炊き上げたご飯。語源は「加《か》て飯」と思いがちですが、この「かて」は博多んもんにはお馴染みの、遊びに「かっちぇて」「かたして」の「糅《か》てる=混ぜる=まぜあわせる」からでっしょうね。
混ぜるといや、「混ぜくり飯」ともいう人も居んしゃるし、「味飯」「味ごはん」「しょうゆ飯」と人や地域でいろいろんごとのあります。

たまにぜいたくして、こげな「かて飯」。栗赤飯。

Kurigohan

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2016年10月31日 (月)

牛乳牛

博多の食いもんシリーズその五十二。牛乳牛。
『ぎゅうにゅううしい ちちださんなら にくうしい するぞやら いうて おどかさんと なおさら でらんごとなろうが』「乳牛に乳ださんなら肉牛にするぞなって言って脅かさないの。なおさら出ないようになるじゃない」

【牛乳牛】乳牛《ちちうし》のこと。乳をとるために飼う牝牛。にゅうぎゅう。ちうしともいう。ホルスタイン・エアシャー・ジャージーなどは代表的品種(広辞苑)。

先日、博多駅付近を歩いとるときに、ビルに事務所があるとか「牛乳石鹸」の宣伝ポスターが何枚も貼ってありました。そのポスターを見よって「ああ、昔、牛乳牛て聞いたことのあったな~」と懐かしく思い出した次第。ただ、この牛乳牛。方言資料にもなかし、ネット検索でも引っかからんけん、もしかしたらその人の家庭内方言みたいなもんやったとかもしらんですね。

では、その牛乳石鹸のポスター。

Gyunyuusi

もぉ~一枚。

Boe02

これはたしか元岡の方の牛舎やったでしょうや。

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2016年10月24日 (月)

すばす

博多の食いもんシリーズその五十一。すばす。
『はかたん おせちい すばすの はいっとらんなら しょうがつな こんばい』『そうばってん あーた もう はのよわーなって れんこん くいきらんて いいよったやないね だけん すかぶい したったい』「博多のお節に酢蓮が入ってないなら正月は来ないよ」「だけどあなたは歯が弱くなって蓮根を噛み切れないって言ってたでしょ。だから酢蕪にしたんですよ」

【すばす(酢蓮)】酢蓮根のこと。もう博多の(自分もふくめて)年寄り世代にしか通用せん言葉やなかでしょうか。漢字だとなんとか理解できますが、「すばす・スバス」の音だけじゃ、何が何やら?でしょうね。

まずは我が家のお節。酢蕪《すかぶ》です。

Osechi02

手持ち写真に「酢蓮」があるか調べてみたら、やっとこさで一枚見つかりました。
中洲は「吉塚うなぎ屋」さん。

Yoshizuka_unagiya

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2016年10月 3日 (月)

メリケン粉と饂飩粉

博多の食いもんシリーズその五十。メリケン粉と饂飩粉。
『おとうさん おみせで めりけんこやら いわんどってね わらわるーよ』「お父さん、お店でメリケン粉やら言わないでね。笑われるよ」

【メリケン粉】(方言というよりは)小麦粉の俗っぽい呼び名ですね。石臼で挽いた饂飩粉に対してアメリカ産の精製したもの(大辞林)。
まぁさすがに外では使わんでしょう。たぶん一瞬間を置いて小麦粉と呼ぶと思いますが、家では今もってたまに「メリケン粉の買い置きはあるとや~?」などと言っとりますね。その一方で、どういうわけか「饂飩粉(うどんこ)」は自分のボキャブラリーには無いごたります。なぜかわからんとですが・・・。

Udonko

Udonko02

写真は「承天寺」の「饂飩蕎麦発祥之地」の石碑。生まれてからずっと「メリケン粉」やし、若いころは散々「英ちゃんうどん」や「因幡うどん」のお世話になってきた身からすると、「うどんは博多が発祥之地やら聞いたことなかぜ~」「どっからそげな話が出て来たっちゃろか」でありますね。

で、そうした疑問から、この石碑の由来や根拠になる証拠らしきもんを探してみようと、手持ちの数多くの博多関連の資料を当たってみたとですが、結局は見つけきっとりません。どなたか根拠となる資料が何であるかご存知であればぜひともご教示ください。

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2016年9月19日 (月)

ネリゴ

博多の食いもんシリーズその四十九。ネリゴ。
『こりゃー かんぱち いうほどん おおきゅー なかっちゃないな まーだ こども ねりごたい』「これはカンパチというほど大きくないんじゃないかい。まだ子ども。ネリゴだよ」

【ネリゴ】カンパチ(スズキ目の硬骨魚:ブリやヒラマサに似るが全体的に黄色っぽく体高があり短い)の幼魚名。地方名。
四国でネイリ、鹿児島宮崎あたりではネゴ・ネリ・ネイなどと博多と似た呼び名を持っとるごたります。とりあえず、そのネリゴの写真を載せときましょう。「伊都菜彩」で40cm弱で600円(申し訳ないくらいに安かった)です。

Nerigo01

この「ネリゴ」という魚名方言の由来ですが、資料的にも感覚的にもはっきりせんし、よーわからんとです。こういう場合はいつもの「当てっぽす」しかなかですね。まずは、寝子(ねこ・ねむり子):そういや眠たい顔しとるような気も・・・。つぎに根魚・根入魚(ネイリ・ネイオ・ネウオ)で、根に居る魚。釣られまいと根に突っ込む魚。もひとつ、睨む・睨める子・睨める魚(にらむ・ねめる)。こげなとこでしょうか。

では、手前料理を一皿、二皿。寿司とはいえない不細工握りですが、味は上々。おいしくいただきました。

Nerigo04

バター焼です。

Nerigo05

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2016年8月 1日 (月)

麦ワラ鯛麦ハゼ麦シャッパ

博多の食いもんシリーズその四十八。麦ワラ鯛麦ハゼ麦シャッパ。
『つゆのあけたら むぎわらだいも ちーと うもうなるかいなね』『そんかーし やっぱ こんだー あつすぎて おちの はやかろな』「梅雨があけたら麦藁鯛もすこしおいしくなるかね」「そのかわりに、今度は暑すぎて鮮度落ちが早いだろうね」

【麦ワラ鯛】麦藁鯛。漁師や釣人用語で味がよくない鯛のこと。麦が実るころに穫れる鯛は産卵が終わったばかりでおいしくないといいます。逆に麦ハゼと麦シャッパはおいしいことの代名詞で褒め言葉になります。
【麦ハゼ】冬を越して二年目のハゼは大きくておいしいとです。
【麦シャッパ】筑後弁風味の方言。同じく旬のシャコのこと。

Mugi02

伊都の塩を少し投げいれて茹であげました。

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手づくりの小鯛の酢+味醂漬け。腹子を抱えるほど大きくないのでおいしいのかも。

Sasazuke02

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2016年7月25日 (月)

じょうもんさん

博多の食いもんシリーズその四十八。じょうもんさん。
『はかたじょうもんさんいちばに いってったばってん ふつうの おばさん ばっかしやったばい』『あーた なんば きたいして かいもんいったとな ありゃ じょうとうやさいのいちばて いみやろもん』「博多じょうもんさん市場に行ってきたけど普通のおばさんばかりだったよ」「あんた、何を期待して買い物に行ったの。あれは上等野菜市場っていう意味じゃないか」

【じょうもんさん】まぁ博多じゃ「じょうもんさん」は「べっぴんさん」「きれいな人」という意味しかなかけん、なんか期待して買い物に行くのも仕方がない部分もありますたいね。
ただ「じょうもんさん」にはもうひとつ隠された意味もあるとですよね。
昔、早良や糸島地区への篤農家などへは地方から奉公人出稼ぎ人として田仕事の手伝いにくる女性が居ったとですね。その女性たちのなかでも働き手、働きのいい人を「じょうもんさん」「よかじょうもんさん」と呼ぶ慣わしがあったようです(志摩町史)。

【博多じょうもんさん市場】JA福岡市の直営青果市場のこと。「博多じょうもんさん」はその青果のブランド名。いい生産者にいい生産物にいい消費者。いずれにしても「褒め言葉」には違いなかし、いいネーミングやと思います。写真は周船寺店。

Zyomonsan_ichiba

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2016年4月25日 (月)

甲貝

博多の食いもんシリーズその四十七。
『たまーに かいの さしみの くいとうなるっちゃばってんが たこーして なかなか てのでらん』『そうな うちゃ やすかけん ちょいちょい こーかいば こーてくるばい』「たまに貝の刺身を食べたくなるんだが値が高くてなかなか手が出ないよ」「そうかい。俺は安いからときどき甲貝を買ってくるよ」

【甲貝(こうかい)】テングニシ(標準和名)のこと。殻を割って中身をとりだし、刺身にしてポン酢をかけて食べるとおいしかです。「甲(よろい・かぶと)貝」と名づけられるだけあって、殻がとても硬くカナヅチで叩いてもなかなか割れずに苦労するので、なにか簡単に身を取り出す方法がないかと、糸島二丈の「福ふくの里」の調理場をしばらく観察しよったとですが、やっぱし叩き割りよんしゃったけん諦めがつきました。ははは。

そうそう、数年前から甲貝や巻貝に少し毒があるとわかり 、貝中毒起こしたりしとるので、あんまし食べ過ぎん方がよかかもしらんですね。

Kokai

赤い線引いたあたりを切り開いて毒部分を洗い流すとよかったっちゃなかでしょうか。詳しくはこのリンク先の食品衛生検査所レポート(pdfファイル)をごらんくだされ。

おまけ。懐かしい「海ほうずき」。甲貝の卵嚢げなです。

Umihoozuki

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