食いもんシリーズ

2019年12月23日 (月)

さらとうむぎめし

博多の食いもんシリーズその八十九。さらとうむぎめし。

『むかしゃ さらとうむぎめしやら びんぼうめし いいよったが さいきんな ぎゃくに みせやの ぜいたくりょうりに なっとるごたるな』「昔の麦ごはんは貧乏飯と言っていたが、最近は逆にたべもの店でぜいたく料理になっているようだね」

【さらとうむぎめし】米が麦よりも少ないか、ほとんどの入っていない麦ごはんのこと。これもご多分に漏れず語源や言葉の由来がはっきりせんとですが、とりあえず当てっぽす。

【さらと】建築用語に「皿斗《さらと》」書く言葉があるとです。この言葉は「ます《枡・升・桝・斗》」と根が同じなので、元々は米が入るべき枡に麦が入っているような意味で関係しとるとかな・・・とも考えとります。あるいは「皿に十粒だけの米」とか、おかず無しの晩菜で、おかずの皿が遠くのとざな《戸棚》に入ったままの「皿遠麦飯」とか・・・。無理すぎな解釈ですね。

写真は京都の有名店の麦とろ飯と朝倉の麦畑。

Mugitoro

Mugi

 

 

| | コメント (0)

2019年12月 9日 (月)

チン

博多の食いもんシリーズその八十八。チン。

『いちばい くろびかりして つらがまえんよか ふとーか ちんの おいちゃったけん ついつい こーてしもーた』「市場に黒光りして面構えのよい大きな黒鯛が置いてあったから、ついつい買ってしまったよ」

【チン】チヌ(関西以西の呼び方)が、もひとつ訛った博多での魚名方言。漢字で書くと(古語的表現)「茅渟《ちぬ》」。茅渟の海は和泉・淡路の両国の間の海の古名で、現在の大阪湾一帯をいうようです。魚類漁獲の多い海域らしく、このへんから来た魚名らしかですね。

ちなみに、黒鯛は雌雄両性の時期があるらしいとですが、雌でもチンて言うとですかね・・・なーんて。

今朝、糸島の志摩の四季で買ーてきた尺五寸《しゃくごっすん》のチンで1000円やったです。

Kurodai02

とりあえず皮霜刺身と小さかとこは唐揚げにしてみました。まだ上身二枚とカマんところが残っています。

Kurodai04

 

| | コメント (0)

2019年12月 2日 (月)

ぐめし

博多の食いもんシリーズその八十七。ぐめし。

『あすの なおらいの あじめしの ぐな なんに しますか』『そうたいね あっさり しょうがの ぐめしでん してみんね』「あすのお開きの味ご飯の具は何にしましょうか」「そうだね。あっさりとした生姜の炊き込みご飯にでもしたらどうかな」

【ぐめし】具飯。具の入ったご飯のこと。味のついたご飯の呼び方はいろいろで思いつくだけでも、味飯《あじめし》、味ご飯《あじごはん》、五目《ごもく》、糅飯《かてめし》、加てご飯《かてごはん》、かやくごはん、混ぜご飯などいろいろ。なんにも入ってないのを、わざわざ空飯《からめし・からごはん》などとも。

では、その生姜飯。"だし"に"たっぷりしょうが"をいれて炊き込むだけです。うまいですよ。

Syougameshi_20191201120101

 

 

| | コメント (0)

2019年11月 4日 (月)

こうこう

博多の食いもんシリーズその八十六。こうこう。

『めずらしゅ みその おこうこうば つけてみましたと あさかかも しらんけど あじみして やんしゃれん』「珍しく味噌に大根を漬けたので(漬けが)浅いかもしれませんが味見してくれませんか」

【こうこう】大根漬け。たくわんのこと。漢字で香香と書き、一般的(共通語的)には大根だけでなく白菜でもきゅうりなどの漬物全体を指すようですが、元々香香の「香」は味噌を意味したらしく、広辞苑には「香《か》女房詞で 味噌」とあります。まぁ博多んもんにしろ、御寮《ごりょん》さんにしろ、普通は「こんこん」やったはずで、「こうこう」て言いしゃったとは、よほど上品な嫁御寮さんやったか、もしかすると武家の血筋(福岡)から来たお方やったとかもしらんですね。

で、おまけ。「香香」からの由来以外の語源説をひとつふたつ。

1:ウコン漬けのこんこん

2:大根のこんこん。

写真は鹿児島の赤味噌漬け。

Koukou

 

| | コメント (0)

2019年10月21日 (月)

はざ

博多の食いもんシリーズその八十五。はざ。

『はざぬき はざうえな めんどらしかが あたらしか はざば ちまちまくうとは なかなか うまかもんにゃ』「間引いたり植え直したりは面倒だけど、あたらしい若菜を少しずつ食べるのはなかなかおいしいものだね」

【はざ】間引き菜。若菜小菜のこと。もともとは挾間《はさま・はざま》から来た言葉でしょうね。間隔、間隔を開けること。

たまたま糸島の方でこげな稲架掛け《はざかけ》ならぬ橋掛けを見つけたので、今回のテーマ「はざ」を思いつきました。

Hazakake

 

| | コメント (0)

2019年10月14日 (月)

あい

博多の食いもんシリーズその八十四。あい。

『あたごの さんしろうで あいの かんろにの うりよったが さすがい むろみがわで とれたっちゃ なかろうな』「愛宕の三四郎で鮎の甘露煮が売っていたけど、さすがに室見川産じゃないだろうね」

【あい】鮎。こもちあい《子持ち鮎》。博多んもんに限らず、人間の口は横着なもんでついつい母音化というか音のはっきりした言葉に訛ってしまうとでしょうね。

室見川産じゃなかろうや~と書きましたが。河口で稚鮎の遡上はよく見られるし、野河内や曲渕の方ではちっと穫れるっちゃなかでしょうか。

珍しくデパ地下に子持ち鮎が売っていたので蓼酢塩焼きにしてみました。

Ayu_tadesu

Tako_ayu02

 

| | コメント (0)

2019年9月30日 (月)

おきがね

博多の食いもんシリーズその八十三。おきがね。

『よづりしよったら おきがねん あおかとが かかってって くうてみたら えらい うまかったやね』『たいわんがざみやな ぎょうらしゅうて きしょくわるか いろ しとるばってん おりゃ ふつうんとより すきやな』「夜釣りしていたら沖蟹が釣れてきて、食べてみるとずいぶんとおいしかったよ」「タイワンガザミだね。派手で気味の悪い色をしてるけれど俺は普通のガザミよりも好きだよ」

【おきがね】(淡水や岸辺で見かける蟹と比べて)沖で穫れる蟹。ガザミやタイワンガザミのこと。基本的には漁師町での漁師語という感じで、博多近辺(や有明の太良ガニなど)は普通は沖蟹とも標準和名のガザミと言わず、通名のワタリガニで通してしまうのが一般的のごたります。

見た目が派手派手色なので、買い手がつきつくのか、おいしいのにたまに激安になっていることもあります。

Okigane

| | コメント (0)

2019年9月23日 (月)

ぶり・はまち・やずPart2

博多の食いもんシリーズその八十二。ブリ・ハマチ・ヤズ。

『もともと ぶりの おおきいじゅんな ぶり はまち やず ばってんが りょうしな はまちちゃ よばんごたるな』「鰤の大きさの順番はブリ・ハマチ・ヤズだけど、漁師はハマチとは呼ばないみたいだね」

【ブリ・ハマチ・ヤズ】それぞれの魚体のサイズで呼び名が変わる鰤ですが、志摩の四季や伊都菜彩で見るかぎり、ラベルにハマチという名称は書いてないですね。たぶん養殖魚=ハマチというイメージを嫌っているような気がします。

ついでにそれぞれの魚名の由来語源などをいつもながらの宛っぽす。

鰤=脂《あぶら》がのっていること。

ハマチ=語源ははっきりしませんが、地元の方言収集本には"波里萬知"などという漢字があててあります。

ヤズ=つい数日前に食べたときに、そのヤズのサイズ的なもんからの連想で八寸(はっすん24cm)由来説をおもいついたんですが、ちゃーんと昔々に資料を読んでいたのに気がつきも思い出しもしませんでした。

参考画像を載せておきます。

まずは「筑前国続風土記土産考」中村学園大学図書館電子アーカイブから拝借。

Buri_hamachi_yasu

つぎは福岡県内方言集復刻版から

Yazuhamachi01

| | コメント (0)

2019年9月 2日 (月)

コウムキ

博多の食いもんシリーズその八十一。コウムキ。

『こうむきん りょうりの なんが むつかしかろーかい あつか かわば べりべりって はがしゃ よかだけやなかね』「カワハギの料理がなんで難しいものかね。厚い皮をベリっと剥がせばいいだけじゃないか」

【コウムキ】カワハギ。カワハギの地方名、魚名方言。「皮剥き」の「皮」と堅い外側の皮の意味の「甲剥き」の「甲」のどっちの影響が大きいとでしょうかね。糸島の方ではなおさら省略された「ムキ」がつかわれとります。

先月はじめに平戸までキス釣りに行ったんですが、キスはあまり釣れずに大きめのコウムキが二枚釣れて晩飯のおかずになりました。

Koumuki




| | コメント (2)

2019年8月28日 (水)

しぇちごめ

博多の食いもんシリーズその八十。しぇちごめ・しぇつごめ。

「しぇちごめせきはん たこーしたら もちごめの たらんかった つうちょうもって こーてっちゃんない」「節句用に赤飯炊こうとしたら餅米が足らなかったから、米通帳持って買ってきてちょうだい」

【しぇちごめ・しぇつごめ】節句祝い用の米。節米と書くとでしょうね。和菓子屋の店頭の「誕生餅」の宣伝貼り紙を見て「なんか餅米の方言のあったごたーなー」でやっとこさ思い出した方言です。

で、この節米が「博多の食いもんシリーズ」の何回目になるとか確かめよったら、たまたまですが前回も「誕生餅」をテーマに書いとりました。頭の働き方が同じような過程をとるもんやな~と感心したとこです。

Sekihan

 

 

| | コメント (0)

より以前の記事一覧