食いもんシリーズ

2017年10月16日 (月)

かんご

博多の食いもんシリーズその六十三。かんご。
『そろそろ かんごの なっとるちゃ なかかいな ちらっと やまいきして さがしてこうか』「そろそろムカゴが成っているんじゃないかな。すこし山に入って探してこようかね」

【かんご】ムカゴ・零余子のこと。山芋の蔓になる(種?実?のような)肉芽で食用。
で、そのムカゴがなんでカンゴに訛ったか?変化したか?を考えてみましょうか。零余子の「零」という漢字には「雨のしずく」や「こぼれ落ちる」という意味があるとですね。

ここからがいつもの「当てっぽす」になるとですが・・・。
雨のしずく→こぼれ落ちる→露→寒露(ちょうど今の季節をいう言葉です=二十四節気)→季節が寒くなって蔓からこぼれ落ちた子どもだから「寒子《かんご》」・・・な~んちゃってな推理はどげんでしょうか。ちなみにホダ木に成る冬の椎茸も「
寒子」と呼ばれとるようです。

写真はむかごご飯。

Mukagohan01

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年9月 4日 (月)

ピンギスとメゴチ

博多の食いもんシリーズその六十二。ピンギスとメゴチ。
『ほら みてんない ふとかきすの いっぱいかろ いつもんごと こまーか ぴんぎすと めごちも まじっとるばってんがくさ』「ほら、見てごらん。大きなキスがいっぱいだろ。いつものように小さなピンギスとメゴチも混じっているけどね」

今日は最初にその「こまーか」とをご覧にいれときましょう。左下がピンギスで右がメゴチです。

Pingisu

【ピンギス】釣れてくるキスでは最小サイズ(10cm程度)のミニキスをいいます。言葉の由来は二つほど考えられるようです。
1:ピンキリのピン。「ぴんからきりまで」は「最上等から最下等まで」ということですが、花札やかるたでは一月から十二月で「最初(最小)から最後(最大)」を意味するので、その最小のピン。
2:安全ピンや押しピンのピン。細く長いものからの連想から。ちなみに押しピンも方言ですよ。

【メゴチ】ネズミゴチ・ノドクサリの魚名方言。メゴチももう少し大きいと天ぷらにするとおいしかです。

ちなみに同じくキス(標準和名:シロギス)の博多方言である「キスゴ」については、だいぶ前ですが、二度「へっぱく」こいてます。ご参考まで。

キスゴ一尾目のへっぱく記事 キスゴ二尾目のへっぱく記事

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年8月28日 (月)

ぬたえ

博多の食いもんシリーズその六十一。およごし。
『よかとしこいた おいさんが おなごんごと およごしやら いうたら おかしかばい ぬたえて いいない』「いい歳をしたおじさんが女のように(およごし)なんて言うのはおかしいだろ。ぬた和えと言えよ」

【およごし】ぬた和え。魚や野菜を酢味噌で和えたもの。共通語の「よごし=ぬた和え」に「お」が頭についた女房詞で方言。上品な表現じゃあります。
【ぬたえ】ぬた和えのこと。博多弁。「ぬたえ」の方が博多ことばとしても一般的かもしらんですね。

イカゲソ・茗荷・きゅうりの酢味噌和え。

Oyogoshi03

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2017年8月14日 (月)

おもす・おむす

博多の食いもんシリーズその六十。おもす。
『こめば おもしゃー さけいなる むぎ むしゃー みそたい かんたんか はなしやろ』『そげんそげん いも おもしゃー しょうちゅう こどもにゃ さんじの おやつの ふかしいもたい』「お米を蒸せば清酒になる。麦を蒸すと味噌だよ。簡単な話だろ」「そうだね。芋を蒸して芋焼酎。子どもには三時のおやつのふかし芋だね」

【おもす・おむす】蒸すこと。ふかすこと。蒸すの女房詞になるとですかね。名詞形の「おむし」で味噌のこと。これも京都の御所言葉から来たとのごたります。写真は正真正銘の京味噌おむし。

Kyomiso

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月31日 (月)

てんぽら

博多の食いもんシリーズその五十九。てんぽら。
『くちじゃ りっぱなことばかし いうとるが あやつぁ まともん しごと しきらん てんぽら てんぽら』「口では立派なことばかり言ってるけれど、あいつはまともな仕事もできない偽物まがい物だよ」

【てんぽら】てんぷらの訛り。共通語の「てんぷら」にも、衣で中身が見えないことから見かけだけの偽物・メッキ物という意味があります。ただ、こげな簡単で日常語がなしてわざわざ訛ってしまうとか、その理由がわからんですね。それが方言の方言たる由縁なんでしょうが・・・。

ちょっとばかし変わった天ぷらをご覧にいれときましょう。黒豆納豆(じたい珍しかですが)の天ぷらです。京都の黒豆屋さんで食べました。

Kitao06

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年5月29日 (月)

あらかぶ

博多の食いもんシリーズその五十八。あらかぶ。
『あらかぶな ちきゅう つるつもりやなからな つれんばい』「カサゴは地球を釣るくらいの気持ちでないと釣れないよ」

【あらかぶ・アラカブ】標準和名でカサゴ。博多ではアラカブの他にガラカブともいうごたります。関西風のガシラも聞いたことありますね。
名前の由来ははっきりせんとです。よーわからんまんまに、アテッポスをいくつか書いときましょう。
アラは荒?新?カブは甲《かぶと》。頭に冠る、被る。大きな口で齧《かぶ》りつくから。かさぶたみたいな黴《かび》・・・。ガラカブの方は堅い硬いのガラガラでしょうか。そういや渋柿をガラガラ柿といいよりましたが、なんとなくイメージ通じるもんがあるような気もします。

味の方は刺し身よし煮つけて良しです。味噌汁や吸い物にすると芥子粒みたいな油が浮いてきます。見た目にも上品です。

Arakabu

味噌汁からほじくりだしたアラカブの鯛の鯛。

Nishihama08


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2017年5月22日 (月)

アオナ

博多の食いもんシリーズその五十七。アオナ。
『ふとか あおなの やすかったけん こーてった』『たっか あらんかわりにゃ じゅうぶんやもんね どげんしたっちゃ おいしかもんね』「大きなアオナが安かったから買ってきたよ」「高いアラの代わりに十分なるものね。どう料理してもおいしいものね」

あんまし馴染みがないかもしらんので最初に「アオナ」をご覧にいれときましょう。

Dekaaona_2

「志摩の四季」や「伊都菜彩」でときどき見かけます。見慣れないせいで売れ残っていたり、最初から安い値段がついていることも多いので、味を知ってる人間はいつも「しめしめ!」ですたいね。

【アオナ】標準和名はアオハタ。青というより黄ハタにしか見えんとですが、なぜか青となっとります。あの高価な(博多弁でアラ)クエに近い仲間ですからおいしくなかはずはなかとです。手前料理をずらずらと。

「刺し身」と「漬け(すり生姜・ごま・醤油・みりんなど)」と翌日の野菜あんかけ用の「素揚げ」。

Dekaaona02_2

ひろちゃん牡蠣のアヒージョとアオナで

Aona03

適当につくった名無しスパゲッティ。

Aona04

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2017年3月27日 (月)

じゅるあめ

博多の食いもんシリーズその五十六。じゅるあめ。
『ひるやすみい じゅるあめんごとなった うんどうじょうで きっくぼーる しよったもんやけん せんせいに たいがい がられたばい』「昼休みに水飴(ぬかるみ)のようになった運動場でキックボールしてたもので先生に嫌というほど叱られたよ」

【じゅるあめ】水飴のこと。じり飴ともいうごたりますね。爺婆店(駄菓子屋)や紙芝居屋で買ーたり貰ーたりしては、割り箸で練りねりして遊びよりましたね。
もっとも博多弁らしい横綱クラスの「しろしい」の基になった古語「汁《しる・じる》い」の名詞形。似た形で「じゅる田=水はけの悪いたんぼ」や「じり耳=耳垂れ症状」などがあります。

写真は現役のじゅる飴。煮物に甘みや照りや粘りをつけるときに使います。子ども一家が集まったときに小皿で出してみると、子は覚えとったみたいで匙で混ぜて白くしよりました。
まぁ自然食だからと孫にも舐めさせると、最初は不審顔でしたが一瞬でにっこりと・・・。

Mizuame

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2017年2月 6日 (月)

はったい粉

博多の食いもんシリーズその五十四。はったい粉。
『こどもんころ はったいこ たべよったっちゃが どげんして たべよったか おもいだせんと』『うちゃぁ たしか くろざとうと いっしょい おゆで かきまぜよったごたる』「子どものころにはったい粉を食べていたんだけれど、どうして食べていたか思い出せない」「わたしはたしか黒砂糖と一緒にお湯でかき混ぜていたみたい」

【はったい粉】米または麦の新穀を炒って焦がし、ひいて粉にしたもの。砂糖を加えたり、水や湯で練ったりして食べる。麦こがしのこと(広辞苑)
語源としては「はったい粉=はたき(打つ叩く)粉」。

先日の「だごかるい」「がめの葉餅」の関連で調べているときに、青空文庫の柳田國男「餅と臼と擂鉢」の中に、博多弁(全国的にも散在しとるようです)の「はったい粉」の語源が書いてあったもんで、そのまま引用させてもらいました。

またこの「はったい(粉)」は、「日葡辞書(九州方言→ポルトガル語対訳辞書:1603年」にも「fattai=炒った米や大麦の粉(麦こがし)」で収録されている古い方言であるのも判明しました。なかなか面白い言葉探しでした。

おまけ。日葡辞書でfattaiを見つけ出すときに、「は音」がポルトガル語のローマ字つづりの「fa」に結びつかず、語順探しでけっこう時間を食いました。「か音=Ca」は知っとったとですがね~、ざ~んねん。

Hattaiko

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月19日 (月)

かて飯

博多の食いもんシリーズその五十三。かて飯。
『かしわめしも うもーて よかばってん たまにゃ ちがーか かてめし くいとーなるな』「鶏ご飯もおいしくていいんだけれど、たまには違う炊き込みご飯を食べたくなるね」

【かて飯】炊き込みご飯のこと。米に魚介、肉、野菜などを加えて炊き上げたご飯。語源は「加《か》て飯」と思いがちですが、この「かて」は博多んもんにはお馴染みの、遊びに「かっちぇて」「かたして」の「糅《か》てる=混ぜる=まぜあわせる」からでっしょうね。
混ぜるといや、「混ぜくり飯」ともいう人も居んしゃるし、「味飯」「味ごはん」「しょうゆ飯」と人や地域でいろいろんごとのあります。

たまにぜいたくして、こげな「かて飯」。栗赤飯。

Kurigohan

| | コメント (4) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧