未収録語シリーズ

2017年3月20日 (月)

みつがの・みつがな

未収録語シリーズ三百五十八。みつがの・みつがな。
『みつがの とおるときゃ ちゃーんと つじの こうしんさん おがんで こなばい』「三叉路を通るときは道端の庚申さんをしっかりと拝んでくるんだよ」

【みつがの・みつがな】三つ角・みつまた・三辻・三叉路のこと。
「むかしの生活誌(春日市郷土史研究会)」を読ませてもらうまで知らん言葉やったです。

単純に三つ角の訛りとも考えられそうですが、なんかもっと座りのいい語源解釈がなかかと考えてみました。

「みつ」は三つか、「道」の訛りか。そのいくつか候補をあげてみます。
三つでは、「みつが野」「みつが(字)名」。道では、「みち鼎《かな》」「みちが守《も》」。道が守が例文の庚申さん。

【こうしんさん】庚申塔庚申塚のこと。道祖神信仰とも重なり、村の入口、三叉などに村の守り神、行路の安全のために祀られることが多かですね。

Koshinzuka

これはたしか糸島市染井神社の近くにあったと記憶しとります。

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2017年3月13日 (月)

えぐる

未収録語シリーズ三百五十七。えぐる。
『そうたい ごぼうな こんくらい えぐらな ごぼうらしゅうなかろうが こげん えぐるけん ごぼてんでちゃ きんぴらでちゃ うまかとたい』「そうだよ。ゴボウはこれくらいあくが強くないとゴボウらしくないよ。こんなにえぐいからこそゴボウ天やきんぴらがおいしいんだよ」

【えぐる】えぐいこと。アクが強く、のどを刺激するような味や食感があること。えぐいの動詞形になるとですかね。こういう用語法があるとは知らんかったです。

ゴボウ天ときんぴら写真ば載せときます。

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Gyudon

ついでにもうひとつ。「きんぴら」に「おてんば娘」という意味があるとをご存知やったですか。こちらでちっとばかし能書きたれとります。

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2017年3月 6日 (月)

てすりこんぼう

未収録語シリーズ三百五十六。てすりこんぼう。
『まちっと やすうならんかいなて てすりこんぼうして たのーだばってん まけちゃんなれんやった』「もう少し安くなりませんかと平身低頭して頼んだけれどもおまけしてくれなかったよ」

何を買おうしんしゃったっちゃろ・・・というわけで、てすりこんぼう。またまた木材の話・・・ではなく、階段の手すりを棍棒でつくるとではなかとです。

【てすりこんぼう】平身低頭して頼み事をすること。漢字を当てると「手擦懇望《てすりこんもう》」でしょうか。手摺りは懇願や謝罪のために手を擦りあわせること。懇望はひたすら願うこと。熱心に希望すること。

まぁ平身低頭するともよかばってん、願い事はこんくらいのとこで納めとくとが無難かもしらんですね。太宰府さんの「幸せの黄色いおみくじ」。

Omikuzi

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2017年2月27日 (月)

ぼくと

未収録語シリーズ三百五十五。ぼくと。
『さいしょの やきゅうばっとは おやじが ぼくとーば けずって つくってくれたやね』「最初の野球バットは、おやじがこん棒を削って作ってくれたよ」

昭和30年代はじめの実話です。しばらくして買ってもらったグローブは布製だった気がします。自分ら団塊の世代は下手も上手もみんな野球少年やったような気がします。さて、ぼくと。

【ぼくと】木の棒。棍棒、天秤棒。語源は木刀《ぼくとう》としとる方言本も多いとですが、自分は朴太《ぼくた》から来たとやないかと想像しとります。「朴(加工していない木)+(丸太の)太」。ちなみに「太《た》」は太刀の太なんで、結局は同じところに行き着いとるとですが。

また博多弁に似た意味の言葉に「ぼくたん棒」というとがあるとですが、これとも関係しとりそうです。こちらはもう10年ほど前に写真とともに詳しく書いてここに載せとります。 その後、「棒手棒」「焼け木杭《ぼっくい》の木杭」「棒杭《ぼうくい》」とも関係しとりそうな気がして来て、一度手にした「ぼくと」は木々に紛れて森の中・・・状態ではあります。ははは。

youtube動画の「いもがらぼくと」です。なんでも里芋の茎でできた刀のことで、力強くて男らしいがお人好しという意味らしかです。

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2017年2月20日 (月)

伊勢講

未収録語シリーズ三百五十四。伊勢講。
『じいさんたちやら うったちな ささぐりさんやら せいぜい ひこさんまいり ばってん おおきいじいさんたちからうえな いせこう かたって ほんなごと いせまいり しよんなった ごたるね』「爺さんも自分たちは篠栗霊場やせいぜい英彦山参りだったけれど、曾祖父さんたちから上の世代は伊勢講に加わって本当に伊勢参りしてあったようだね」

【伊勢講】もともとは伊勢参宮のための信仰集団。旅費を積み立てて(あるいは貸し立て)籤に当たったものが講仲間の代表として参詣し霊験を受け帰着した(精選版日本国語大辞典)。その後は信仰団体というより、金銭を融通しあう無尽講や「寄りあい・飲みごと」的な集まりに変化していったごたりますね。自分の母親もたしか昭和40年代ころまで町内の無尽講にかたっとったようです。

ちなみに伊勢神宮まで参らずに篠栗や英彦山で済ますことを「半参宮」といっとったようです(春日市の民俗 むかしの生活誌:春日市郷土史研究会)。

写真の石碑は「お櫛田さん」の恵比寿神社の脇に立っとりました。

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2017年2月13日 (月)

そとがま

未収録語シリーズ三百五十三。そとがま。
『むすめんこい じゅうどうやら させんほうが ようはなかな そとがまい なってしまうが』「女の子に柔道なんかさせない方がよくないかい。がに股になってしまうよ」

【そとがま】外股《そとまた》。足の爪先を外の方へ向けて歩く歩き方。早い話が蟹股《がにまた》のことですたいね。

少々古い博多弁の資料を読み返しよると「そとがま」に「外構」という字を当てちゃりました。外向きの足の構《かま》えということでしょうか。ただ自分は「そとがま」に「外鎌」由来説をとっとります。外鎌=右手で持って、刃が外側向いた鎌(例えていうなら左利き用鎌)を意味しとるような気がしとります。

ぜ~んぜん関係なさそうなんですが、クラシックバレー用語に「鎌足《かまあし》」というのがあるようです。リンク先にまさに内鎌と外鎌の違いがわかりやすい図があります。納得です。

もひとつ、おまけ。蟹(股)だけじゃなく、鰐もいました。

【そとわ(外輪)】爪先が外側に向いていること。また、その足つき。
【そとわに(外鰐)】鰐足。爪先が外側に向く歩き方。外股。そとわ。
【わにあし(鰐足)】歩くとき,足の爪先を外側に向けるか,あるいは内側に向けるかして歩く歩き方。

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まぁたしかに蟹は膝(肘だったりして)が外向いとりますね。

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2017年1月30日 (月)

だごかるい

未収録語シリーズ三百五十二。だごかるい。
『あっちん おおきいばあちゃんな いっとき おりようとんなったげなやが とうとう だごかるいに なんなったげな』「あちらのひいおばあさんはしばらく病状が落ち着いていたらしいんだけど、とうとうお盆の間に亡くなられたらしいよ」

【だごかるい】盆前やお盆の間に亡くなること。亡くなられた人のこと。
だごは団子や餅。かるいは「からう(背負う)」こと。お盆のお供え団子をご自分で背負われて西方に向かわれたね・・・という意味でよかろうて思います。たいがい古い博多弁で自分も資料的に知っとるだけで、直接耳にしたことはなか気がします。

【おりようとる】病状が折り合って(落ち着いて)いること。

写真は「がめの葉餅」と、城南区鳥飼塩屋橋の送り火(供物収集)会場。

Gamenohamochi

Okuribi

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2017年1月23日 (月)

きぜわらしい

未収録語シリーズ三百五十一。きぜわらしい。
『くれしょうがつて ずーと きぜわらしゅうて まわり みることの なかったが もう ぼちぼち うめの さきだすばいな』「暮正月とずっと気ぜわしくて周囲を見ることがなかったけれど、もうそろそろ梅の花が咲きはじめるんだね」

【きぜわらしい】せわしない、落ち着かないこと。共通語で「気ぜわしい」こと。その「気ぜわしい」の訛りと混同。・・・書いてしまえば、それまでのことですが、とりあえず、いつものように能書き垂れときます。
気分が忙《せわ》しいこと。似た表現で「きぜからしい」。こちらは気分が急《せ》からしいこと。どちらも「忙しい」「急く」に「おおきなお世話でうるさかな~=世話らしい」という気分が入っとるごたりますね。

もうしばらくして、太宰府さんか糸島小富士梅林でもゆっくり訪《たん》ねて来んしゃるとよかですよ。

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2017年1月16日 (月)

こっこと

未収録語シリーズ三百五十。こっこと。
『おとうとい こっとと しごと せんかて いうたら あんちゃんこそ とっとと しないて けんかい なりかけたら おやじが おまえたちゃ せからしか にわとりん ごたる いいあい すんなて がられたやね』「弟に早く仕事しろと言ったら、兄ちゃんこそさっさとしろよと喧嘩になりかけたら、親がお前たちはうるさい。鶏のような言い合いをするなと叱られたよ」

酉年でございます。こっこと・こけーこ・こっこ・とーとととと・とっと・とっとと。

【こっこと】さっさと、素早くの意味。共通語の「とっと」と同じで。博多弁で少々悪意のある表現になります。由来は忽忽?刻々?実はこの「こっこと」と「とっとと」は鶏を介しての仲間語のごたります。半分冗談でその関係を解き明かしましょう。

こけーこ:鶏の鳴き声
こっこ:鶏の鳴く声を表わす語(精選版日本国語大辞典)
とーとととと:鶏を呼び(追い)集める擬声擬音
とっと:魚・鳥・鶏などをいう幼児語(精選版日本国語大辞典)
とっとと:疾くと疾くとの転。一刻も早く、さっさとの意味(広辞苑)

博多弁の「こっこと」と共通語の「とっとと」を「酉」でつなげてみました。面白いちゃ面白いでしょ?!写真は私めの今年の年賀状。我が家に「酉」は居ず、あるのは「酒」だけでございます。ははは。

Toridoshi

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2017年1月 9日 (月)

ふらほ・ふらいき

未収録語シリーズ三百四十九。ふらほ・ふらいき。
『えらい くーらーの おもたそうやが よけい つれたとな』『こまか こっぱがれいが ごろくじゅうは つれたでっしょうや』『ほー そげんね そんなら ふらほ たてて かえらな いかんめえたい』
「ずいぶんとクーラーボックスが重たそうだけどたくさん釣れたのかい」「小さい木の葉カレイが五~六十尾くらいは釣れたようです」「ほう、そんなにね。そういうことなら大漁旗を立てて帰らないといけないね」

【ふらほ・ふらいき】大漁旗。漁船の旗。国旗。一般的にはあまり馴染みのない方言でしょうが、浜言葉、漁師言葉としてはけっこう全国各地で(ふらふが多く)使われとるようです。
語源はオランダ語のVlag(英語でflag)とのことですが、個人的には風帆・振帆・Fly旗・富来旗などを当てたい気がしています。

【木っ葉(こっぱ)ガレイ】木の葉のように小さく薄っぺらいカレイのこと。太陽にかざすと骨が透き通って見えるので、自分はレントゲンカレイと言いよりました。

自分は漁師町(福岡市東区箱崎)の生まれで、若いころは小さなヨットに乗ったりしよったもんで、浜言葉や船舶用語はけっこう知っとりましたが、これは「新修版志摩町史」を読ませてもらうまで、言葉も例文のような状況を思い出すことはなかったです。もう三十年以上は昔の能古島からの帰り、渡船場での(たぶん)漁師さんとの会話がこんな感じやったです。

Hakusan07

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