2017年3月27日 (月)

じゅるあめ

博多の食いもんシリーズその五十六。じゅるあめ。
『ひるやすみい じゅるあめんごとなった うんどうじょうで きっくぼーる しよったもんやけん せんせいに たいがい がられたばい』「昼休みに水飴(ぬかるみ)のようになった運動場でキックボールしてたもので先生に嫌というほど叱られたよ」

【じゅるあめ】水飴のこと。じり飴ともいうごたりますね。爺婆店(駄菓子屋)や紙芝居屋で買ーたり貰ーたりしては、割り箸で練りねりして遊びよりましたね。
もっとも博多弁らしい横綱クラスの「しろしい」の基になった古語「汁《しる・じる》い」の名詞形。似た形で「じゅる田=水はけの悪いたんぼ」や「じり耳=耳垂れ症状」などがあります。

写真は現役のじゅる飴。煮物に甘みや照りや粘りをつけるときに使います。子ども一家が集まったときに小皿で出してみると、子は覚えとったみたいで匙で混ぜて白くしよりました。
まぁ自然食だからと孫にも舐めさせると、最初は不審顔でしたが一瞬でにっこりと・・・。

Mizuame

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2017年3月20日 (月)

みつがの・みつがな

未収録語シリーズ三百五十八。みつがの・みつがな。
『みつがの とおるときゃ ちゃーんと つじの こうしんさん おがんで こなばい』「三叉路を通るときは道端の庚申さんをしっかりと拝んでくるんだよ」

【みつがの・みつがな】三つ角・みつまた・三辻・三叉路のこと。
「むかしの生活誌(春日市郷土史研究会)」を読ませてもらうまで知らん言葉やったです。

単純に三つ角の訛りとも考えられそうですが、なんかもっと座りのいい語源解釈がなかかと考えてみました。

「みつ」は三つか、「道」の訛りか。そのいくつか候補をあげてみます。
三つでは、「みつが野」「みつが(字)名」。道では、「みち鼎《かな》」「みちが守《も》」。道が守が例文の庚申さん。

【こうしんさん】庚申塔庚申塚のこと。道祖神信仰とも重なり、村の入口、三叉などに村の守り神、行路の安全のために祀られることが多かですね。

Koshinzuka

これはたしか糸島市染井神社の近くにあったと記憶しとります。

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2017年3月13日 (月)

えぐる

未収録語シリーズ三百五十七。えぐる。
『そうたい ごぼうな こんくらい えぐらな ごぼうらしゅうなかろうが こげん えぐるけん ごぼてんでちゃ きんぴらでちゃ うまかとたい』「そうだよ。ゴボウはこれくらいあくが強くないとゴボウらしくないよ。こんなにえぐいからこそゴボウ天やきんぴらがおいしいんだよ」

【えぐる】えぐいこと。アクが強く、のどを刺激するような味や食感があること。えぐいの動詞形になるとですかね。こういう用語法があるとは知らんかったです。

ゴボウ天ときんぴら写真ば載せときます。

Agedashi_gobo02

Gyudon

ついでにもうひとつ。「きんぴら」に「おてんば娘」という意味があるとをご存知やったですか。こちらでちっとばかし能書きたれとります。

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2017年3月 6日 (月)

てすりこんぼう

未収録語シリーズ三百五十六。てすりこんぼう。
『まちっと やすうならんかいなて てすりこんぼうして たのーだばってん まけちゃんなれんやった』「もう少し安くなりませんかと平身低頭して頼んだけれどもおまけしてくれなかったよ」

何を買おうしんしゃったっちゃろ・・・というわけで、てすりこんぼう。またまた木材の話・・・ではなく、階段の手すりを棍棒でつくるとではなかとです。

【てすりこんぼう】平身低頭して頼み事をすること。漢字を当てると「手擦懇望《てすりこんもう》」でしょうか。手摺りは懇願や謝罪のために手を擦りあわせること。懇望はひたすら願うこと。熱心に希望すること。

まぁ平身低頭するともよかばってん、願い事はこんくらいのとこで納めとくとが無難かもしらんですね。太宰府さんの「幸せの黄色いおみくじ」。

Omikuzi

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2017年2月27日 (月)

ぼくと

未収録語シリーズ三百五十五。ぼくと。
『さいしょの やきゅうばっとは おやじが ぼくとーば けずって つくってくれたやね』「最初の野球バットは、おやじがこん棒を削って作ってくれたよ」

昭和30年代はじめの実話です。しばらくして買ってもらったグローブは布製だった気がします。自分ら団塊の世代は下手も上手もみんな野球少年やったような気がします。さて、ぼくと。

【ぼくと】木の棒。棍棒、天秤棒。語源は木刀《ぼくとう》としとる方言本も多いとですが、自分は朴太《ぼくた》から来たとやないかと想像しとります。「朴(加工していない木)+(丸太の)太」。ちなみに「太《た》」は太刀の太なんで、結局は同じところに行き着いとるとですが。

また博多弁に似た意味の言葉に「ぼくたん棒」というとがあるとですが、これとも関係しとりそうです。こちらはもう10年ほど前に写真とともに詳しく書いてここに載せとります。 その後、「棒手棒」「焼け木杭《ぼっくい》の木杭」「棒杭《ぼうくい》」とも関係しとりそうな気がして来て、一度手にした「ぼくと」は木々に紛れて森の中・・・状態ではあります。ははは。

youtube動画の「いもがらぼくと」です。なんでも里芋の茎でできた刀のことで、力強くて男らしいがお人好しという意味らしかです。

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2017年2月20日 (月)

伊勢講

未収録語シリーズ三百五十四。伊勢講。
『じいさんたちやら うったちな ささぐりさんやら せいぜい ひこさんまいり ばってん おおきいじいさんたちからうえな いせこう かたって ほんなごと いせまいり しよんなった ごたるね』「爺さんも自分たちは篠栗霊場やせいぜい英彦山参りだったけれど、曾祖父さんたちから上の世代は伊勢講に加わって本当に伊勢参りしてあったようだね」

【伊勢講】もともとは伊勢参宮のための信仰集団。旅費を積み立てて(あるいは貸し立て)籤に当たったものが講仲間の代表として参詣し霊験を受け帰着した(精選版日本国語大辞典)。その後は信仰団体というより、金銭を融通しあう無尽講や「寄りあい・飲みごと」的な集まりに変化していったごたりますね。自分の母親もたしか昭和40年代ころまで町内の無尽講にかたっとったようです。

ちなみに伊勢神宮まで参らずに篠栗や英彦山で済ますことを「半参宮」といっとったようです(春日市の民俗 むかしの生活誌:春日市郷土史研究会)。

写真の石碑は「お櫛田さん」の恵比寿神社の脇に立っとりました。

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2017年2月13日 (月)

そとがま

未収録語シリーズ三百五十三。そとがま。
『むすめんこい じゅうどうやら させんほうが ようはなかな そとがまい なってしまうが』「女の子に柔道なんかさせない方がよくないかい。がに股になってしまうよ」

【そとがま】外股《そとまた》。足の爪先を外の方へ向けて歩く歩き方。早い話が蟹股《がにまた》のことですたいね。

少々古い博多弁の資料を読み返しよると「そとがま」に「外構」という字を当てちゃりました。外向きの足の構《かま》えということでしょうか。ただ自分は「そとがま」に「外鎌」由来説をとっとります。外鎌=右手で持って、刃が外側向いた鎌(例えていうなら左利き用鎌)を意味しとるような気がしとります。

ぜ~んぜん関係なさそうなんですが、クラシックバレー用語に「鎌足《かまあし》」というのがあるようです。リンク先にまさに内鎌と外鎌の違いがわかりやすい図があります。納得です。

もひとつ、おまけ。蟹(股)だけじゃなく、鰐もいました。

【そとわ(外輪)】爪先が外側に向いていること。また、その足つき。
【そとわに(外鰐)】鰐足。爪先が外側に向く歩き方。外股。そとわ。
【わにあし(鰐足)】歩くとき,足の爪先を外側に向けるか,あるいは内側に向けるかして歩く歩き方。

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まぁたしかに蟹は膝(肘だったりして)が外向いとりますね。

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2017年2月 6日 (月)

はったい粉

博多の食いもんシリーズその五十四。はったい粉。
『こどもんころ はったいこ たべよったっちゃが どげんして たべよったか おもいだせんと』『うちゃぁ たしか くろざとうと いっしょい おゆで かきまぜよったごたる』「子どものころにはったい粉を食べていたんだけれど、どうして食べていたか思い出せない」「わたしはたしか黒砂糖と一緒にお湯でかき混ぜていたみたい」

【はったい粉】米または麦の新穀を炒って焦がし、ひいて粉にしたもの。砂糖を加えたり、水や湯で練ったりして食べる。麦こがしのこと(広辞苑)
語源としては「はったい粉=はたき(打つ叩く)粉」。

先日の「だごかるい」「がめの葉餅」の関連で調べているときに、青空文庫の柳田國男「団子と昔話」の中に、博多弁(全国的にも散在しとるようです)の「はったい粉」の語源が書いてあったもんで、そのまま引用させてもらいました。

またこの「はったい(粉)」は、「日葡辞書(九州方言→ポルトガル語対訳辞書:1603年」にも「fattai=炒った米や大麦の粉(麦こがし)」で収録されている古い方言であるのも判明しました。なかなか面白い言葉探しでした。

おまけ。日葡辞書でfattaiを見つけ出すときに、「は音」がポルトガル語のローマ字つづりの「fa」に結びつかず、語順探しでけっこう時間を食いました。「か音=Ca」は知っとったとですがね~、ざ~んねん。

Hattaiko

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2017年1月30日 (月)

だごかるい

未収録語シリーズ三百五十二。だごかるい。
『あっちん おおきいばあちゃんな いっとき おりようとんなったげなやが とうとう だごかるいに なんなったげな』「あちらのひいおばあさんはしばらく病状が落ち着いていたらしいんだけど、とうとうお盆の間に亡くなられたらしいよ」

【だごかるい】盆前やお盆の間に亡くなること。亡くなられた人のこと。
だごは団子や餅。かるいは「からう(背負う)」こと。お盆のお供え団子をご自分で背負われて西方に向かわれたね・・・という意味でよかろうて思います。たいがい古い博多弁で自分も資料的に知っとるだけで、直接耳にしたことはなか気がします。

【おりようとる】病状が折り合って(落ち着いて)いること。

写真は「がめの葉餅」と、城南区鳥飼塩屋橋の送り火(供物収集)会場。

Gamenohamochi

Okuribi

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2017年1月23日 (月)

きぜわらしい

未収録語シリーズ三百五十一。きぜわらしい。
『くれしょうがつて ずーと きぜわらしゅうて まわり みることの なかったが もう ぼちぼち うめの さきだすばいな』「暮正月とずっと気ぜわしくて周囲を見ることがなかったけれど、もうそろそろ梅の花が咲きはじめるんだね」

【きぜわらしい】せわしない、落ち着かないこと。共通語で「気ぜわしい」こと。その「気ぜわしい」の訛りと混同。・・・書いてしまえば、それまでのことですが、とりあえず、いつものように能書き垂れときます。
気分が忙《せわ》しいこと。似た表現で「きぜからしい」。こちらは気分が急《せ》からしいこと。どちらも「忙しい」「急く」に「おおきなお世話でうるさかな~=世話らしい」という気分が入っとるごたりますね。

もうしばらくして、太宰府さんか糸島小富士梅林でもゆっくり訪《たん》ねて来んしゃるとよかですよ。

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