2017年6月19日 (月)

よとぎ

未収録語シリーズ三百六十八。とぎ。
『ほんけん ばばしゃんの おおごと ならっしゃったげなけん うちゃ よとぎ いってこー』「本家のお婆さんが亡くなられたらしいのでお通夜に行ってきます」

【夜伽《よとぎ》】お通夜のこと。伽《とぎ》と略した言い方もあります。昔々テレビ時代劇で悪殿様がきれいな腰元に「夜伽せい!」などと命ずる場面をよく見ましたが、こちらの夜伽とは意味が違い近所付き合いや親戚付き合いでは欠かせない習わしや作法の一つやなかでしょうか。
【おおごと】一般的には大事《おおごと》で大事《だいじ》なこと、大変なこと。この例文の場合は突然亡くなられたという意味での葬祭用語。南無阿弥陀仏。

Hachisu01

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2017年6月12日 (月)

おき

未収録語シリーズ三百六十七。おき。
『くどん もえさし おきいすると わすれとったけん あーた はいに つっこんどって』「竈《かまど》の燃え残りを熾火《おきび》にするのを忘れてたから、あなた灰の中に突っ込んでおいて」

今回の二つの言葉は、両方とも方言か古い表現かはっきりせん部分もあるとですが、とりあえずメモがわりに残しときましょう。

【燃えさし】漢字では「燃え止し」。「・・さし」は「・・・かけ」のこと。「燃えさし=燃えかけ」ですね。「読みさし(=かけ)」「食べさし(=かけ)」のごと、途中でその行動や状態が止まっとる様子を表しとります。
【おき】熾火《おきび》の略。燃えているもの、火がついているものを一度「灰」などに埋めて「消炭」状態にすること。

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2017年6月 5日 (月)

おおばんげ

未収録語シリーズ三百六十六。おおばんげ。
『あやつん おおばんげな はなしば うんうんいうて ききよったら いつか すってん とらるーばい』「あいつのいいかげんな話を(うんうんと)聞いていたらいつか騙されるよ」

【すってんとる】騙されること。すってんころりと話が裏返ること・・・でよかとやろか。当てっぽす。
【おおばんげ】いいかげん。おおざっぱなこと。ほぼ「おおまん・おおまんたれ」と同じ意味のごたりますね。地域や(熊本・長崎などでも使われとります)人によっては「うーばんげ・うーばんぎゃ・わぅばんぎゃ」というとこもあるごたります。
語源というか、言葉の由来は大漫《おおまん》と同じで、「大旨・概《おおむ》ね・大まか」あたりやないかと想像しとります。

写真は自分がちっと「おおばんげ」やなかかと疑っとる承天寺の「饂飩蕎麦発祥之地」石碑。

Udonko

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それこそ「うろん」な話やったりして・・・。

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2017年5月29日 (月)

あらかぶ

博多の食いもんシリーズその五十八。あらかぶ。
『あらかぶな ちきゅう つるつもりやなからな つれんばい』「カサゴは地球を釣るくらいの気持ちでないと釣れないよ」

【あらかぶ・アラカブ】標準和名でカサゴ。博多ではアラカブの他にガラカブともいうごたります。関西風のガシラも聞いたことありますね。
名前の由来ははっきりせんとです。よーわからんまんまに、アテッポスをいくつか書いときましょう。
アラは荒?新?カブは甲《かぶと》。頭に冠る、被る。大きな口で齧《かぶ》りつくから。かさぶたみたいな黴《かび》・・・。ガラカブの方は堅い硬いのガラガラでしょうか。そういや渋柿をガラガラ柿といいよりましたが、なんとなくイメージ通じるもんがあるような気もします。

味の方は刺し身よし煮つけて良しです。味噌汁や吸い物にすると芥子粒みたいな油が浮いてきます。見た目にも上品です。

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味噌汁からほじくりだしたアラカブの鯛の鯛。

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2017年5月22日 (月)

アオナ

博多の食いもんシリーズその五十七。アオナ。
『ふとか あおなの やすかったけん こーてった』『たっか あらんかわりにゃ じゅうぶんやもんね どげんしたっちゃ おいしかもんね』「大きなアオナが安かったから買ってきたよ」「高いアラの代わりに十分なるものね。どう料理してもおいしいものね」

あんまし馴染みがないかもしらんので最初に「アオナ」をご覧にいれときましょう。

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「志摩の四季」や「伊都菜彩」でときどき見かけます。見慣れないせいで売れ残っていたり、最初から安い値段がついていることも多いので、味を知ってる人間はいつも「しめしめ!」ですたいね。

【アオナ】標準和名はアオハタ。青というより黄ハタにしか見えんとですが、なぜか青となっとります。あの高価な(博多弁でアラ)クエに近い仲間ですからおいしくなかはずはなかとです。手前料理をずらずらと。

「刺し身」と「漬け(すり生姜・ごま・醤油・みりんなど)」と翌日の野菜あんかけ用の「素揚げ」。

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ひろちゃん牡蠣のアヒージョとアオナで

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適当につくった名無しスパゲッティ。

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2017年5月15日 (月)

ニオ乾し

未収録語シリーズ三百六十五。ニオ乾し。
『ほうらくまんじゅうに ならんどったらくさ あんまめは におぼしするて かいちゃったっちゃが どっから きた ことば やろかね』「蜂楽饅頭に並んでいたら、餡こになる豆は「ニオ乾し」にすると書いてあったんだが、どこから来た言葉だろうね」

・・・というわけで、博多弁というわけでもないとですが調べてみました。

【ニオ乾し】もともとは稲の乾し方やったごたります。その稲の干し方がそのまま北海道では豆の干し方に転用されたとやないかと想像しとります。

さて語源はというと、まずは「へっぱくBLOG」流のダジャレ説をふたつ。
1:担《にな》う(稲負う・荷負う)乾し。
2:稲覆《おお》う・荷覆う乾し方。稲小積み・稲ぼっち・藁ぼっちのことですたいね。

学術的文献的には以下のとおり。
1:刈稲を円錐形に高く積み上げたもの。稲叢《いなむら》。稲堆《いなにお》のこと。その略(日本国語大辞典)。
2:新穂《にほ》の転(日本方言大辞典)。
3:
新嘗のこと。その堆積場所。吉凶を占うこと。(海上の道:柳田國男:青空文庫)。同書の「稲の産屋」の章に、◆稲村または稲積というものの各地の方言が数多く集められてい た際に、現在なお行われているニホ・ニョウその他これに近い色々の名称は、或いはこの新嘗のニヒではあるまいか◆とありました。

Nioboshi

博多駅「Tジョイ博多」の地下一階、博多阪急の入り口近くに新らしゅう「店」が出とりました。

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2017年5月 8日 (月)

じやく

未収録語シリーズ三百六十四。じやく。
『このごら まちなかでん わっか おなごさんが じやく たべあるき しよんなるが あれじゃ だいえっとも はなよめしゅぎょうも あったもんじゃなかろたい』「このごろは街中でも若い女性がいつも食べ歩きしてるけれど、あれじゃダイエットも花嫁修業もなにもあったもんじゃないよね」

まぁこれが余計なお世話というもんですが、さて「じやく」。

【じやく】いつも。しょっちゅう。常に・・・していること。博多では聞いた覚えがなかとですが、能古島や糸島あたりで使われとる方言のようです(能古島の方言:石橋淙平:能古島小学校1985年発行)。
さて問題はいつものごとく方言の由来。候補の一つが泰然自若の自若《じじゃく》。「平常と少しも変らないこと」という意味がありますね。
もうひとつは持薬《じやく》と餌薬《じやく》でいつも飲んでいる薬。用心のため養生のため普段から用いている薬の意味です。さてどちらが本筋でしょうか。

写真は薬好きな自分用です。まぁ一病息災ならぬ多病息災というところです。

Jiyaku

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2017年5月 1日 (月)

おたからさん

未収録語シリーズ三百六十三。おたからさん。
『おたくの おたからさんな いくつい ならっしゃったと』『したん むすこんこが たんじょうもちいわい したばっかし』「お宅の子ども(孫)さんは何歳になられたの」「下の男の子が餅踏み祝いをしたばかり」

こげんか簡単な言葉を書かんで抜かしとったごたります。

【おたからさん】子どもや孫を宝にたとえた表現。ほら、あれですよ。万葉集の「銀《しろがね》も 黄金《くがね》も玉も 何せむに 優れる宝 子にしかめやも」ですたいね。
【誕生餅(祝い)】も「餅踏み」も両方言いますばってん、誕生餅の方は共通語じゃなかごたりますね。これは知らんかったです。

うちん下の孫のときの様子です。

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Mochifumi03

おまけ。甘木ばたばた。

Amagibatabata

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2017年4月24日 (月)

抜かす

未収録語シリーズ三百六十二。抜かす。
『こうはいが おれば ぬかす そのうち ぬかしますて いうっちゃが なんのこっちゃら いっちょん いみの わからん』「後輩が俺を抜かす。そのうち抜かしますと言うんだが、何のことやらさっぱり意味がわからない」

それこそ「何ばぬかしよるとや?!」ですたいね。

【抜かす】追い越すこと。追い抜くこと。まだ共通語とは完全に定着していない若者語のごたりますね。「日本国語大辞典」と「広辞苑第五版」は未収録。大辞林には収録。「明鏡」では俗語扱いのようです。辞書もいろいろと個性があって面白かですね。

では、博多弁では「どう言うか?!」と薄ぼんやりと考えよりましたら、「抜かす・抜かされた」は使わんばってん、「追い抜かす」「追い抜かされた」ちゃ言いますね。とくに「追い抜かされた」の方は「マラソンゴールの最後の最後で追い抜かされてしもーたばい」と一緒に大会に参加した若い友人に言うたことのあったようです。

当時はまだ「ゼッケン」といいよりましたが、ナンバーカード51番。だいぶ若っかときんとです。いま思えばイチローの背番号と同じですね。

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2017年4月17日 (月)

ていしょう

未収録語シリーズ三百六十一。ていしょう。
『ていしょうも なかこと するけん おうじょうするったい やりかぶらんまえい やめときない』「柄にもないことをするからどうしようもなくなるんだろ。失敗する前にやめておくといいよ」

【ていしょう】
身のほど知らず。柄にもないことをする。結果的に甲斐性がないこと。
語源ははっきりしません。
ずらずらと思いつくことを書いてみますか。手衣装(自前の衣服)も用意できない。亭主(らしくもない)。呈上(物を贈ること)もできない。手性(字も上手に)書けない・・・などなど。とりあえず一つにこじつければ「性」なんてのはどうでしょう。
体性は
元々生まれ備わったもの。性格や性質や本質のことですから、それが「ない」ということでしょうね。最近ではもうほとんど聞いた記憶がありませんが、「ふてえがってえ」同様に「ていしょうもかなわん」は博多部の長老さん方の常套句やったです。

博多弁だけでやめときゃよかったとに、糸島弁やらも勉強しだしたもんやけん、毎週毎週の記事で往生しとります。まぁなんとか地理的なもんも(絲・伊都・怡土・志摩・糸島の違いなんてのもね)だいたい頭に入ってきましたばってん・・・。
Ito_shima_2

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