2018年1月22日 (月)

ながてのごい

未収録語シリーズ三百九十四。ながてのごい。
『うちんおやじな さるまた やったが じいさんな いっしょう ながてのごい やったげな』「うちの父親は猿股パンツやったがお爺さんは一生ふんどしだったらしいよ」

【ながてのごい】漢字を当てると長手拭。晒《さらし》の尺の長さで使用目的が変化したとかな。長いと褌《ふんどし》や兵児《へこ》で、短いと手拭やったとのごたります。
また、これが大事かとこですが、《てぬぐい》が訛って手拭《てのごい》に変化したように考えがちですばって、話は逆。古語そのもんの「太乃古比」がタノゴヒ→テノゴイ→テノグイ→テヌグイになったようです(精選日本国語大辞典)。

もひとつ、ついでに「日葡辞書(九州方言→ポルトガル語対訳辞書:1603年刊)」にも、「Tenogoi=テノゴイ(手拭)手や顔を拭うタオル」と収録がありました。

博多じゃ山笠の赤手拭(あかてのごい=役職付の印)でも馴染みのある言葉ですたいね・・・というわけで長手拭(締め込み)のオンパレード。

Sirippeta

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2018年1月15日 (月)

ぽや~んと

未収録語シリーズ三百九十三。ぽや~んと。
『くれから しょうがつい かけて いっちょん ぽやーんと できんかったやね』『そげん いうわりにゃ かってぐちい さかびんの いっぱい ころがっとったやないな』「暮れから正月にかけて、ちっとものんびりできなかったよ」「そう言うわりには勝手口に酒瓶がいっぱい転がっていたじゃないか」

【ぽや~んと】のんびり。ゆったり。ぼんやり。物事の様子がはっきりしないこと。
どっちかというと、「なん、ぽや~んとしとるか。しっかりせんかい」というパターンが多いごたりますが、例文のごたる悪意のない表現もあるということで書いてみました。
もともとの言葉の由来は、昔々の霞がかかったように光るガス灯や電灯を覆うガラス筒《ホヤ》から来たっちゃないかと想像しとりますが、「ぼんやり」や「ほけ《火気》」も候補から捨てきれんです。

暮れの床の間は知り合いへの「お届け用」と新年の「祝席用」でだいたい毎年こげな感じになっとります。

Kuredaisyocyu

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2018年1月 8日 (月)

ひっくりこかす

未収録語シリーズ三百九十二。ひっくりこかす。
『がめにんなべば ゆかに おいとくけん けつまずいて ひっくりこかしやんなね』「がめ煮の鍋を床に置いておくから、つまずいてひっくり返さないようにね」

【ひっくりこかす】ひっくり返すこと。「こかす=倒す・転がすこと(広辞苑)」は古語っぽい共通語ですが、言葉が二つつながると地方独自の方言となるごたりますね。

暮れの30日でしたか、「おせち」やらの正月準備でバタバタしとったときに、コンロやシステムキッチンの上が全部ふさがっとったもんで、しかたなく鍋を広告紙《こうこくがみ》を敷いた床に置きながら自分が言うたセリフです。実話。

同じような意味の博多弁に「けばちがーす《蹴り鉢返す》」ていうとがあります。

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写真はそのできた「がめ煮」。元旦の家族全員集合で鍋一杯(写真の三倍は入っとります)つくったとですが、あんまし売れんで?自分たち夫婦二人で残り全部食べんといかんごとなりました。オオゴト。

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2018年1月 1日 (月)

ようよう

新年 あけまして おめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

2018

では、さっそくに。今年第一回は「ようよう」

未収録語シリーズ三百九十一。ようよう。
『じょやんかねん なりおわるまでい そろわんかて しんぱいしたが よーよーんこつで おせちつくりの まにおーた』「除夜の鐘が鳴り終わるまでに揃れられるか心配したけれど、かろうじてお節づくりが間に合ったよ」

【ようよう】やっと・かろうじての意味。例文通りに共通語訳をすると「ようやくのことで」。語源は古語そのものの「漸う《ようよう》」で、漸く《ヤウヤク》の音便化したもののごたります(広辞苑)。ただこれも今では消滅寸前の少数派で、「ようやっと」か「やっとこさ」が一般的かもしらんですね。

2017osechi

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2017年12月25日 (月)

ぎんたい・ぎんにゃ

未収録語シリーズ三百九十。ぎんたい・ぎんにゃ・ぎ。
『おおかぜの ふいた げんたい やねやら とんで しまわんかいな』「大風が吹いたら屋根なんか飛んでしまうんじゃないかな」

上の例文は大昔(もう二十年近く前)の文章ですが、最近になって、この自分が書いた(そして日常的に使う)「げんたい」は少数派で、「ぎんたい・ぎんにゃ」の方が訛りとしては主流やないかと思えてきとるとですよ。

【ぎんたい・ぎんにゃ】・・・したら・・・すると。主として悪い結果が予想されそうな時に接続詞として使われることが多かようです。

この「げんたい」の語源は縁起・由縁という意味の「卦体《けたい》」か。あるいは懈怠ゆえの因果応報か・・・みたいな強引な解釈をしとったとですが、これが「ぎんたい・ぎんにゃ」なら、また違う考え方もできそうです。

古語に、なるほど・もっともである・・・という意味の「実に実に《げにげに》」「実に実にし《げにげにし》」というとがあるとです。また博多弁には「げなげな話」ていうともあるでっしょうが。

このへんの「げにげに」「げなげな」と元々の「げんたい」が混同され《ごっちゃ》になって「ぎんたい」になり「ぎにゃ」と訛っていったような気もしています。いつもとおりの当てっぽすですばってんね。

写真はお櫛田さんの「ぎんにゃ」。こちらは好結果をもたらす縁起物ですたいね。

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2017年12月18日 (月)

わがどん・わがだち

未収録語シリーズ三百八十九。わがどん。
『わが よかつば くーて よかけん そんまえい わがどんで なんば くうか かずば まとめて たのーでこい』「自分で好きなものを食べていいから、その前に自分たちで何を食べたいか数をまとめて頼んで来なさい」

引率の先生のセリフみたいになっとります。

【わがどん・わがだち】「わが」は主として目下の者に対する表現で「お前」「君」「あなた(自分)」。「どん=共」「だち=達」で複数形。

さて、何ば食べるか決まったとでしょうかね。

Ebidon

小海老丼になったげなです。

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2017年12月11日 (月)

さごし

博多の食いもんシリーズその六十四。さごし。
『さかなやに いったらくさ たちうおやら さごしやら ながかとばっかし ならんどった』「魚屋に行ったらね、太刀魚や鰆といった長い魚ばかり並んでいたよ」

ちょうど今ごろの季節、「志摩の四季」や「ふく福の里」ではそげなふうで、よう獲れる時季のごたります。筑前海では魚の春の鰆と書くより、魚の秋、もしくは魚偏に初冬と書く方が正解じゃなかでしょうか。

【さごし】鰆《さわら》の方言魚名。一般的には鰆の幼魚名とのことですが、このへんじゃ大きいともサゴシというようです。筑前国続風土記の土産考では「青箭《さごし》」という漢字があててあり、箭《せん》は弓矢の「矢」の意味があるので、青い矢ということでしょうね。また魚体(魚高)が細い(低い)ことから「狭腰《さごし》」とも書くごたります。
・・・ということは、今の魚屋さんには抜刀隊と弓矢組が揃い踏みしとるわけですね。ははは。
Sagoshi

添付図は中村学園大学図書館の電子アーカイブ「筑前国続風土記」二十九巻より拝借。次の写真は「志摩の四季」。

Sagoshi02

最後に筑前国続風土記の時代を真似て「末摘花」風に一句。「狭腰買う 妾しなやか 柳腰」なーんてくさ。

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2017年12月 4日 (月)

かがしりつく

未収録語シリーズ三百八十八。かがしりつく。
『うちんまごんむすめな おかしがりで いっつも だれかんうしろい かがしりついとる』「うちの孫娘は恥ずかしがりで、いつも誰かの後ろにすがりついているよ」

【かがしりつく】すがりつくこと。しがみつくこと。この方言の由来ははっきりせんとです。もしかすると、三回前にここで書いた「かかる」と関係するとかもしらんですね。
【かかる】「よりかかる」の「かかる」で、世話になる・頼りにすること。

このごろは、しがみつきはせんですが、それでも誰かの手を探して握ったり、手のなかときは足でも服でも「ギュッ」しとります。七五三んときんとです。

Kagasirituku

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2017年11月27日 (月)

ゼイワン

未収録語シリーズ三百八十七。ゼイワン。
『うちんばばさん さっかーずきでくさ あびすぱ ぜいわん あがりきるっちゃろかて しんぱい しよんなる』「うちのおばあさんはサッカー好きでアビスパ福岡はJ1に上がれるかしらと心配しているよ」

【ぜいわん】J1《じぇいわん》の訛り。一般的な博多弁(九州弁)の訛り方である、「先生→しぇんせい」「全然→じぇんじぇん」とは逆の用法ですたいね。似た例としては、「JR→ゼイ・アール」「ジェット機→ゼット機」。

J2のV・ファーレン長崎高田(ジャパネット高田の前)社長の「J1→ぜいわん」発音が話題になっとったんで、へっぱくネタとして使わせてもらいました。その高田さんの発音証拠動画をどうぞ~。15秒ころです。お聴き逃しなく。


ついでに大昔の方言資料写真を引っ張り出してきました。EXIF確認したら1999年4月に撮影しとったようです。

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2017年11月20日 (月)

こつく

えっ、これも方言?シリーズ七十四。こつく。
『いしたたきな くちで えさ こっついて しっぽな じめん こつきよるが たいがい いそがしゅう みゆるな』「セキレイはクチバシで餌をつついて、尾羽は地面を叩いて、ずいぶんと忙しそうに見えるね」

【こつく・こっつく】つつくこと。何かをつつき何かを叩く音を様子。「小突く」と同じ仲間の言葉のようです。

最初、どこからか小さな連続音が聞こえてきたときに、「何がこつきよるとかいな?雨だれじゃなかごたるが」と思ったときに、「ありゃこれも方言か!」と気づいたとです。いろんな辞書を引いたとですが、ほとんど収録されとりませんで、かろうじて「能古島の方言:石橋淙平:福岡市立能古小学校発行」に記載されとりました。あとは京都弁(京言葉=方言の源)として使われとるようです。博多、京都と使用地域が少ない貴重な方言なんですね。

写真はそのハクセキレイ。

Hakusekirei01

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