2018年2月19日 (月)

かなと

博多の食いもんシリーズその六十六。かなと。
『こげん さむーなると やっぱ ぬくいもんの たべとーなるな かなとんなべか ちゅーいりでん してんもうか』「こんなに寒くなると、やはり温かいものが食べたくなるね。かなとふぐの鍋か中炒りでもしてみようか」

【かなと】カナトフグの略でカナト。ここらの魚名方言でシロサバフグ(標準和名)のこと。他地方でもぎんふぐ・ぎんぶく・きんぶく・・・などと呼ばれとるごたります(日本国語大辞典)。

カナトの由来がどこから来たもんかはっきりせんとですが、金気《かなけ》のカナ、金銀のキンギンが方言の頭にかぶさっとるとこからすると、やっぱしシロサバフグの「表皮の色」から来とるような気がしますです。
・・・と書くと、「金《カナ》はいいとして、《ト》の説明になっとらんやろ」と突っ込みが来そうなので、もひとつこじつけ。

金砥《カナト》なんてのはどげんでしょうか。やっぱし表皮の表現で「ウロコがなくぬめって平らにつるつる金色に光っている様子」な~んて。無理やっこすぎか。

写真は「ちゅういり」。こちらに詳しく書いとるのでどうぞ~。

Cyuiri

「たたき」。

Kanato_tataki

身だけ買ーて来て家でざっと炙るだけ。ぽん酢で食べるとおいしかですよ。

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2018年2月12日 (月)

しらげる

未収録語シリーズ三百九十六。しらげる。
『まぁ この ややさん おかおが しらげにしらげたごと つるつる ひかって きれいかこと』「この赤ん坊のお顔は磨いて磨きにかけたようにつるつるに光ってきれいなこと」

【しらげる】精げると書きます。精白。磨くこと。磨いて白くすること。

今回は文章が短くなったけん、関連画像を何枚か載せときます。三割九分まで磨いた酒は相当珍しかです。獺祭。

Dassai01

つぎは粉引き。米粉。

Ishiusu

きな粉

Konahiki

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2018年2月 5日 (月)

にんぎりめし・まぜくりめし

博多の食いもんシリーズその六十五。にんぎりめし・まぜくりめし。
『あしたな てまがえしやけん にんぎりめし つくっちゃんない』『よかよ なんか おいしか まぜくりめしにでも しちゃろうかね』「明日は手間返しだから握り飯(弁当)をつくってね」「いいよ。なにかおいしい混ぜご飯にしてあげようか」

【にんぎりめし・まぜくりめし】握り飯と混ぜご飯。まぁわかりやすい言葉で方言というほどでもなかですが、ひさしぶりに「にんぎり」と発音する人がおったもんやけん書いてみました。

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写真はつい最近の晩飯です。「きんぴら」の混ぜくり飯で握ったおいなりさん。

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2018年1月29日 (月)

おごく

未収録語シリーズ三百九十五。おごく。
『おごくの もちな もう ひいて よかばい やいて おやつにでん たべんしゃい』「お供えの餅はもう引き下げていいよ。焼いておやつにして食べなさい」

【おごく】御供え(おそなえ)。御供えの御供で「ごく」と読み、御御供で「おごく」となったとでしょうね。また御供(ごく)を伸ばして「ごくう」と言う人もおんしゃるですね。

先日、ある店で「熨斗《のし》はどうしましょうか」と聞かれたので「おごく用の名前なしで」と言うたら、意味が通じんやったみたいで「えっ?」やったです。若い店員さんやったし、まぁ最近は「初七日」と「お七夜」の区別がつかん人も居るらしかけん仕方のなかことかもしらんですね。

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赤米のだご餅。

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2018年1月22日 (月)

ながてのごい

未収録語シリーズ三百九十四。ながてのごい。
『うちんおやじな さるまた やったが じいさんな いっしょう ながてのごい やったげな』「うちの父親は猿股パンツやったがお爺さんは一生ふんどしだったらしいよ」

【ながてのごい】漢字を当てると長手拭。晒《さらし》の尺の長さで使用目的が変化したとかな。長いと褌《ふんどし》や兵児《へこ》で、短いと手拭やったとのごたります。
また、これが大事かとこですが、《てぬぐい》が訛って手拭《てのごい》に変化したように考えがちですばって、話は逆。古語そのもんの「太乃古比」がタノゴヒ→テノゴイ→テノグイ→テヌグイになったようです(精選日本国語大辞典)。

もひとつ、ついでに「日葡辞書(九州方言→ポルトガル語対訳辞書:1603年刊)」にも、「Tenogoi=テノゴイ(手拭)手や顔を拭うタオル」と収録がありました。

博多じゃ山笠の赤手拭(あかてのごい=役職付の印)でも馴染みのある言葉ですたいね・・・というわけで長手拭(締め込み)のオンパレード。

Sirippeta

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2018年1月15日 (月)

ぽや~んと

未収録語シリーズ三百九十三。ぽや~んと。
『くれから しょうがつい かけて いっちょん ぽやーんと できんかったやね』『そげん いうわりにゃ かってぐちい さかびんの いっぱい ころがっとったやないな』「暮れから正月にかけて、ちっとものんびりできなかったよ」「そう言うわりには勝手口に酒瓶がいっぱい転がっていたじゃないか」

【ぽや~んと】のんびり。ゆったり。ぼんやり。物事の様子がはっきりしないこと。
どっちかというと、「なん、ぽや~んとしとるか。しっかりせんかい」というパターンが多いごたりますが、例文のごたる悪意のない表現もあるということで書いてみました。
もともとの言葉の由来は、昔々の霞がかかったように光るガス灯や電灯を覆うガラス筒《ホヤ》から来たっちゃないかと想像しとりますが、「ぼんやり」や「ほけ《火気》」も候補から捨てきれんです。

暮れの床の間は知り合いへの「お届け用」と新年の「祝席用」でだいたい毎年こげな感じになっとります。

Kuredaisyocyu

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2018年1月 8日 (月)

ひっくりこかす

未収録語シリーズ三百九十二。ひっくりこかす。
『がめにんなべば ゆかに おいとくけん けつまずいて ひっくりこかしやんなね』「がめ煮の鍋を床に置いておくから、つまずいてひっくり返さないようにね」

【ひっくりこかす】ひっくり返すこと。「こかす=倒す・転がすこと(広辞苑)」は古語っぽい共通語ですが、言葉が二つつながると地方独自の方言となるごたりますね。

暮れの30日でしたか、「おせち」やらの正月準備でバタバタしとったときに、コンロやシステムキッチンの上が全部ふさがっとったもんで、しかたなく鍋を広告紙《こうこくがみ》を敷いた床に置きながら自分が言うたセリフです。実話。

同じような意味の博多弁に「けばちがーす《蹴り鉢返す》」ていうとがあります。

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写真はそのできた「がめ煮」。元旦の家族全員集合で鍋一杯(写真の三倍は入っとります)つくったとですが、あんまし売れんで?自分たち夫婦二人で残り全部食べんといかんごとなりました。オオゴト。

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2018年1月 1日 (月)

ようよう

新年 あけまして おめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

2018

では、さっそくに。今年第一回は「ようよう」

未収録語シリーズ三百九十一。ようよう。
『じょやんかねん なりおわるまでい そろわんかて しんぱいしたが よーよーんこつで おせちつくりの まにおーた』「除夜の鐘が鳴り終わるまでに揃れられるか心配したけれど、かろうじてお節づくりが間に合ったよ」

【ようよう】やっと・かろうじての意味。例文通りに共通語訳をすると「ようやくのことで」。語源は古語そのものの「漸う《ようよう》」で、漸く《ヤウヤク》の音便化したもののごたります(広辞苑)。ただこれも今では消滅寸前の少数派で、「ようやっと」か「やっとこさ」が一般的かもしらんですね。

2017osechi

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2017年12月25日 (月)

ぎんたい・ぎんにゃ

未収録語シリーズ三百九十。ぎんたい・ぎんにゃ・ぎ。
『おおかぜの ふいた げんたい やねやら とんで しまわんかいな』「大風が吹いたら屋根なんか飛んでしまうんじゃないかな」

上の例文は大昔(もう二十年近く前)の文章ですが、最近になって、この自分が書いた(そして日常的に使う)「げんたい」は少数派で、「ぎんたい・ぎんにゃ」の方が訛りとしては主流やないかと思えてきとるとですよ。

【ぎんたい・ぎんにゃ】・・・したら・・・すると。主として悪い結果が予想されそうな時に接続詞として使われることが多かようです。

この「げんたい」の語源は縁起・由縁という意味の「卦体《けたい》」か。あるいは懈怠ゆえの因果応報か・・・みたいな強引な解釈をしとったとですが、これが「ぎんたい・ぎんにゃ」なら、また違う考え方もできそうです。

古語に、なるほど・もっともである・・・という意味の「実に実に《げにげに》」「実に実にし《げにげにし》」というとがあるとです。また博多弁には「げなげな話」ていうともあるでっしょうが。

このへんの「げにげに」「げなげな」と元々の「げんたい」が混同され《ごっちゃ》になって「ぎんたい」になり「ぎにゃ」と訛っていったような気もしています。いつもとおりの当てっぽすですばってんね。

写真はお櫛田さんの「ぎんにゃ」。こちらは好結果をもたらす縁起物ですたいね。

09nengazyo

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2017年12月18日 (月)

わがどん・わがだち

未収録語シリーズ三百八十九。わがどん。
『わが よかつば くーて よかけん そんまえい わがどんで なんば くうか かずば まとめて たのーでこい』「自分で好きなものを食べていいから、その前に自分たちで何を食べたいか数をまとめて頼んで来なさい」

引率の先生のセリフみたいになっとります。

【わがどん・わがだち】「わが」は主として目下の者に対する表現で「お前」「君」「あなた(自分)」。「どん=共」「だち=達」で複数形。

さて、何ば食べるか決まったとでしょうかね。

Ebidon

小海老丼になったげなです。

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«さごし