2017年12月11日 (月)

さごし

博多の食いもんシリーズその六十四。さごし。
『さかなやに いったらくさ たちうおやら さごしやら ながかとばっかし ならんどった』「魚屋に行ったらね、太刀魚や鰆といった長い魚ばかり並んでいたよ」

ちょうど今ごろの季節、「志摩の四季」や「ふく福の里」ではそげなふうで、よう獲れる時季のごたります。筑前海では魚の春の鰆と書くより、魚の秋、もしくは魚偏に初冬と書く方が正解じゃなかでしょうか。

【さごし】鰆《さわら》の方言魚名。一般的には鰆の幼魚名とのことですが、このへんじゃ大きいともサゴシというようです。筑前国続風土記の土産考では「青箭《さごし》」という漢字があててあり、箭《せん》は弓矢の「矢」の意味があるので、青い矢ということでしょうね。また魚体(魚高)が細い(低い)ことから「狭腰《さごし》」とも書くごたります。
・・・ということは、今の魚屋さんには抜刀隊と弓矢組が揃い踏みしとるわけですね。ははは。
Sagoshi

添付図は中村学園大学図書館の電子アーカイブ「筑前国続風土記」二十九巻より拝借。次の写真は「志摩の四季」。

Sagoshi02

最後に筑前国続風土記の時代を真似て「末摘花」風に一句。「狭腰買う 妾しなやか 柳腰」なーんてくさ。

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2017年12月 4日 (月)

かがしりつく

未収録語シリーズ三百八十八。かがしりつく。
『うちんまごんむすめな おかしがりで いっつも だれかんうしろい かがしりついとる』「うちの孫娘は恥ずかしがりで、いつも誰かの後ろにすがりついているよ」

【かがしりつく】すがりつくこと。しがみつくこと。この方言の由来ははっきりせんとです。もしかすると、三回前にここで書いた「かかる」と関係するとかもしらんですね。
【かかる】「よりかかる」の「かかる」で、世話になる・頼りにすること。

このごろは、しがみつきはせんですが、それでも誰かの手を探して握ったり、手のなかときは足でも服でも「ギュッ」しとります。七五三んときんとです。

Kagasirituku

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2017年11月27日 (月)

ゼイワン

未収録語シリーズ三百八十七。ゼイワン。
『うちんばばさん さっかーずきでくさ あびすぱ ぜいわん あがりきるっちゃろかて しんぱい しよんなる』「うちのおばあさんはサッカー好きでアビスパ福岡はJ1に上がれるかしらと心配しているよ」

【ぜいわん】J1《じぇいわん》の訛り。一般的な博多弁(九州弁)の訛り方である、「先生→しぇんせい」「全然→じぇんじぇん」とは逆の用法ですたいね。似た例としては、「JR→ゼイ・アール」「ジェット機→ゼット機」。

J2のV・ファーレン長崎高田(ジャパネット高田の前)社長の「J1→ぜいわん」発音が話題になっとったんで、へっぱくネタとして使わせてもらいました。その高田さんの発音証拠動画をどうぞ~。15秒ころです。お聴き逃しなく。


ついでに大昔の方言資料写真を引っ張り出してきました。EXIF確認したら1999年4月に撮影しとったようです。

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2017年11月20日 (月)

こつく

えっ、これも方言?シリーズ七十四。こつく。
『いしたたきな くちで えさ こっついて しっぽな じめん こつきよるが たいがい いそがしゅう みゆるな』「セキレイはクチバシで餌をつついて、尾羽は地面を叩いて、ずいぶんと忙しそうに見えるね」

【こつく・こっつく】つつくこと。何かをつつき何かを叩く音を様子。「小突く」と同じ仲間の言葉のようです。

最初、どこからか小さな連続音が聞こえてきたときに、「何がこつきよるとかいな?雨だれじゃなかごたるが」と思ったときに、「ありゃこれも方言か!」と気づいたとです。いろんな辞書を引いたとですが、ほとんど収録されとりませんで、かろうじて「能古島の方言:石橋淙平:福岡市立能古小学校発行」に記載されとりました。あとは京都弁(京言葉=方言の源)として使われとるようです。博多、京都と使用地域が少ない貴重な方言なんですね。

写真はそのハクセキレイ。

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2017年11月13日 (月)

がんぎ

未収録語シリーズ三百八十六。がんぎ。
『あたごさんも そうばって わかすぎん たいそぐうの がんぎも たいがい きつかばい』『そげん そげん これ のぼりきりゃ ごりやくの いっぱい ありそうに おもえるもんな』「愛宕神社もそうだけど、若杉山の太祖宮の石段も相当に厳しいよ」「そうだそうだね。これを上りきればご利益がたくさんありそうだものね」

【がんぎ】石段。雁木と書きます。雁木段《がんぎだん》という年寄りも居んしゃるごたります。雁木は元々は浜(船着き場)へ下りるため木製の階段をさしとったようですが、これが時代とともに石材による桟橋になり、一般的な石段へ変化したもんのごたります。

写真は若杉てっぺん近くの太祖宮石段。

Gangi


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2017年11月 6日 (月)

かかる

未収録語シリーズ三百八十四。
『あっちん じなんさんな やくばい かけていきよんなったが なしてか いまな あにさんとこに かかっとんなるて』「あちらの次男さんは役所に働きに行ってらしたけれど、どういうわけか今はお兄さんのところで居候だとか」

こげな噂話はみなさんお好きなようで・・・というわけで、
【かかる】世話になること。居候《いそうろう》のこと。親がかりの「かかり」と同じですたいね。
糸島弁には古語の「掛り人《かかりびと・かかりうど》」が訛った「かかりうと(意味は同じ)」という方言も残っとるようです。
【かける】通勤すること。駆けること。働くこと。

いそうろう、三杯目はそっと出し・・・せんもんやけん、毎日四合炊きですたい。

Hosikiss06


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2017年10月30日 (月)

あらもん

未収録語シリーズ三百八十四。あらもん。
『あんちゃんな あらもん ばってが おととな ごたいな ふとかとに なしてか おにみそ』「兄は荒っぽいくらいに元気者だけど、弟は体は大きいのに、どういうわけか見掛け倒しの弱虫」

【あらもん(荒者)】元気者。荒々しい人。勇猛勇敢な人。
【鬼味噌】主に子供の性格をさす言葉。鬼のように強そうだけど、実際はみそっかすで弱虫。見掛け倒しで弱々しい人。みそっかす=アブラムシ=(一人前扱いされない子供:博多弁)

自分はだいたい子供んときは、鬼味噌とは反対でガキ大将タイプやったごたります。今はヌカ味噌亭主しとります。

Nukamisoteisyu

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2017年10月23日 (月)

かためいだれ

未収録語シリーズ三百八十三。かためいだれ。
『なんか きもんの ずんだれとるなーて おもいよったら やっぱー かためいだれや ないか』「なんとなく着崩れてだらしないと思ったら、やはり片前垂れじゃないか」

【かためいだれ】着物の裾が揃わずに片方だけが垂れ下がった姿。片前=着物の左右重ね合わせた外側の部分(精選版日本国語大辞典)。
同じ方言でも、人と地域によって「片身垂《かたみいだ》れ」「片前倒《かたまいだお》れ」とも言うごたります。ただ片前を肩前とする由来も考えられんこともなくて、襟元が揃わない着崩れをいう場合もあるごたります。共通語では「片前下《かたまえさ》がり」。

みなさん、きちんと着こなしとんしゃりますね。片前ならぬ片袖抜きのどんたく三味線隊のとおりもん。

Katasodenuki

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2017年10月16日 (月)

かんご

博多の食いもんシリーズその六十三。かんご。
『そろそろ かんごの なっとるちゃ なかかいな ちらっと やまいきして さがしてこうか』「そろそろムカゴが成っているんじゃないかな。すこし山に入って探してこようかね」

【かんご】ムカゴ・零余子のこと。山芋の蔓になる(種?実?のような)肉芽で食用。
で、そのムカゴがなんでカンゴに訛ったか?変化したか?を考えてみましょうか。零余子の「零」という漢字には「雨のしずく」や「こぼれ落ちる」という意味があるとですね。

ここからがいつもの「当てっぽす」になるとですが・・・。
雨のしずく→こぼれ落ちる→露→寒露(ちょうど今の季節をいう言葉です=二十四節気)→季節が寒くなって蔓からこぼれ落ちた子どもだから「寒子《かんご》」・・・な~んちゃってな推理はどげんでしょうか。ちなみにホダ木に成る冬の椎茸も「
寒子」と呼ばれとるようです。

写真はむかごご飯。

Mukagohan01

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2017年10月 9日 (月)

よりとり

未収録語シリーズ三百八十二。よりとり。
『てぐすと はりすの あいだにゃ よりとり いれとかにゃ すぐ おまつり してしまうばい』「道糸(釣り糸)と鉤素(ハリを結んだ糸)の間に縒り戻しを入れておかないとすぐに絡んで釣りにならないよ」

【縒りとり】竿先やリールからの釣り糸と鉤素の間でそれぞれを結んでお互いの縒りをとる仕掛けの一つで金属環になっとります。一般的には
縒り戻し・猿環《さるかん》・スイベル。「縒りとり」は浦言葉で方言。

写真が「縒りとり」。「みどりや仏壇店」の古いラジオCMではないですが、「縒りとりは選り取り見取りある」とです。

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