2017年8月14日 (月)

おもす・おむす

未収録語シリーズ三百七十六。おもす。
『こめば おもしゃー さけいなる むぎ むしゃー みそたい かんたんか はなしやろ』『そげんそげん いも おもしゃー しょうちゅう こどもにゃ さんじの おやつの ふかしいもたい』「お米を蒸せば清酒になる。麦を蒸すと味噌だよ。簡単な話だろ」「そうだね。芋を蒸して芋焼酎。子どもには三時のおやつのふかし芋だね」

【おもす・おむす】蒸すこと。ふかすこと。蒸すの女房詞になるとですかね。名詞形の「おむし」で味噌のこと。これも京都の御所言葉から来たとのごたります。写真は正真正銘の京味噌おむし。

Kyomiso

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2017年8月 7日 (月)

おびところびく

未収録語シリーズ三百七十五。おびところびく。
『わっか むすめんこが おびところびいて ぎょうぎのわるさ よめんもらいての のーなるばい』「若いお嬢さんが(帯も締めないで)着物の前をはだけて行儀が悪い。お嫁の貰い手がなくなるよ」

【おびところびく】帯を締めないまま着物(や洋服)の前をはだけたままのだらしない姿。今風に言うと、胸元や上半身あけっぴろげということでしょうかね。
地域や世代の違いで、同じ意味ながら少し違う方言で、「おびところむく」「おびところぶ」などあるごたります。ただもうどれも消滅(寸前)語でしょうね。

語源ははっきりせんとですが、これも古語に「帯解広《おびとけひろげ》」というとがあって、姿の悪いだけやないで、身仕舞いや素行の悪さも言いよったごたります。

まぁ、こげなハンチャ半纏で帯締めんね!て言われても困るとですよ。

Hancya_3

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2017年7月31日 (月)

てんぽら

未収録語シリーズ三百七十四。てんぽら。
『くちじゃ りっぱなことばかし いうとるが あやつぁ まともん しごと しきらん てんぽら てんぽら』「口では立派なことばかり言ってるけれど、あいつはまともな仕事もできない偽物まがい物だよ」

【てんぽら】てんぷらの訛り。共通語の「てんぷら」にも、衣で中身が見えないことから見かけだけの偽物・メッキ物という意味があります。ただ、こげな簡単で日常語がなしてわざわざ訛ってしまうとか、その理由がわからんですね。それが方言の方言たる由縁なんでしょうが・・・。

ちょっとばかし変わった天ぷらをご覧にいれときましょう。黒豆納豆(じたい珍しかですが)の天ぷらです。京都の黒豆屋さんで食べました。

Kitao06

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2017年7月24日 (月)

おっか・ちっか

未収録語シリーズ三百七十三。おっか。
『おっかばばさんと ちっかばばさんの ふたんで なかよー あるきよんなった』『そげんそげん あっちゃ としよりばばさんの ほうが げんきかごたる』「曾祖母さんと祖母さんが二人で仲良く歩いていらっしゃったよ」「そうそう、あちらのお宅はひいおばあさんの方が元気みたいね」

【おっか・ちっか】大きな、小さな。歳上の、歳下のの意味。おっかばばさんで曾祖母《ひいばあちゃん》。ちっかばばさんで祖母《ばあちゃん》。
【としよりばばさん】「年寄り」を上につけると、「年寄りの方の婆さん」の意味で曾祖母。いろんな表現があって、家族構成をよく知らんとけっこう判別に苦しむことのありますね。もひとつおまけ。こういう表現もあります。
【おっかんちゃん】大きな兄《あん》ちゃん。「ちっかんちゃん」で小さい方の兄。おっか姉《あね・ねえ》ちゃんの方は省略できんで、そんまま「おっかねえちゃん」。

では、おっかさんと、その子のおっか・ちっか姉ちゃんたち。

Oyako

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2017年7月17日 (月)

ながなり

未収録語シリーズ三百七十二。ながなり。
『ちょうないひ もろーて すぐかえるつもりが たいしょうに つかまって えらいまた ながなり きかされてしもうた』「町内会費を貰ってすぐに帰るつもりがご主人につかまってずいぶんと長話を聞かされたよ」

【ながなり】長話。不平不満。へっぱく。減らず口。捨て台詞などなど。地域や人によってけっこういろんな意味と用法があるごたります。「長鳴り」「長く鳴り響くこと」とすれば意味が通じやすかですね。
ただ「捨て台詞」の場合は「(投げ)捨て台詞」のように言葉の「投げ鳴り」とも考えられそうです。

こげな近くでの「長鳴り」はえずかですね。

Kaminarisan02

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2017年7月10日 (月)

一切れ一口《しときれしとくち》

未収録語シリーズ三百七十一。ひちひちしじゅうく。
『しときれ しとくち たべさしーて いっつも なまるひとに ひて いわんねて ひつこゆう おしえるっちゃばってん むりかとよね』「一切れ一口食べさせてといつもヒがシと訛る人に、ヒと言いなさいとしつこく教えるんだけど無理なんだよね」

あんたも「しつこい」が「ひつこい」になっとるばい。そして、いっつも七七四十九《ひちひちしじゅうく》て言いよるやないね!というわけで、

【しときれしとくち】さすがに《ひちひちひちじゅうく》と訛ることはなかごたりますね。この「ひ」が「し」に訛る人、その逆の人。ごちゃまぜの人。この博多ん人間の博多弁の訛り方の基準というか規則性はどげんなっとるとでしょうね。
だいぶ考えて来たとですが、いっつも《シ?ヒっちゃんがっちゃん》になって、一つ《しとつ》もわかりません。

写真は相当前に撮ったもんで、今でも掛かっとるとでしょうかね。聖福寺近く上呉服町の「相良ひちや」さん。

Hichiya

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2017年7月 3日 (月)

天狗とり

未収録語シリーズ三百七十。天狗とり。
『やねふきんときい かせいにんの やっさんこいさて てんぐとり しよったやな』「屋根葺きのときに手伝いの人たちが(やっさんこいさ)とバケツリレーしていたよ」

【やっさんこいさ】しきりに、次々との意味。天狗とりのときの掛け声。
【天狗とり】多人数で物を手渡しでしながら運ぶこと。バケツリレー。篠栗の西義助さんの方言集「くらしのことば:不知火書房」ではじめて知った言葉やったです。天狗は伝供《てんぐ・でんぐ》の訛り。
【伝供】 仏前にそなえる供物を手から手に伝えて供えること(広辞苑)。

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写真の西本願寺ではこの伝供が大掛かりに行われとるようです。

こちらは天狗さんのふるさと?の鞍馬寺

Kuramadera01

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2017年6月26日 (月)

しめし

未収録語シリーズ三百六十九。しめし。

『うちの むすめんこんとこな としごのふたごやろ いえに あそびに いったら しめしの ふらほんごと ほしちゃって せんたくの たいがい おおごとて なげきよった』「うちの娘のことろは(孫が)年子で双子でしょ。家に遊びに行ったらおしめが大漁旗のように干してあって選択がずいぶん大変と嘆いたいたよ。」

【しめし】おしめ。おむつのこと。「しめし」を「湿し」と書いたら意味が想像できるっちゃなかですか。ついでに、「おむつ」は「御襁褓」という漢字のごたります。絶対に書けんし読めんです。
【ふらほ】大漁旗。漁船の旗。国旗。一般的にはあまり馴染みのない方言でしょうが、浜言葉、漁師言葉としてはけっこう全国各地で(ふらふが多く)使われとるようです。英語のフラッグから来たとでしょうね。

Hakusan07

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2017年6月19日 (月)

よとぎ

未収録語シリーズ三百六十八。とぎ。
『ほんけん ばばしゃんの おおごと ならっしゃったげなけん うちゃ よとぎ いってこー』「本家のお婆さんが亡くなられたらしいのでお通夜に行ってきます」

【夜伽《よとぎ》】お通夜のこと。伽《とぎ》と略した言い方もあります。昔々テレビ時代劇で悪殿様がきれいな腰元に「夜伽せい!」などと命ずる場面をよく見ましたが、こちらの夜伽とは意味が違い近所付き合いや親戚付き合いでは欠かせない習わしや作法の一つやなかでしょうか。
【おおごと】一般的には大事《おおごと》で大事《だいじ》なこと、大変なこと。この例文の場合は突然亡くなられたという意味での葬祭用語。南無阿弥陀仏。

Hachisu01

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2017年6月12日 (月)

おき

未収録語シリーズ三百六十七。おき。
『くどん もえさし おきいすると わすれとったけん あーた はいに つっこんどって』「竈《かまど》の燃え残りを熾火《おきび》にするのを忘れてたから、あなた灰の中に突っ込んでおいて」

今回の二つの言葉は、両方とも方言か古い表現かはっきりせん部分もあるとですが、とりあえずメモがわりに残しときましょう。

【燃えさし】漢字では「燃え止し」。「・・さし」は「・・・かけ」のこと。「燃えさし=燃えかけ」ですね。「読みさし(=かけ)」「食べさし(=かけ)」のごと、途中でその行動や状態が止まっとる様子を表しとります。
【おき】熾火《おきび》の略。燃えているもの、火がついているものを一度「灰」などに埋めて「消炭」状態にすること。

Kudo01

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