2012年5月28日 (月)

えいしょうえ・しょんがえ

未収録語シリーズ 百七十二。えいしょうえ・しょんがね。
『なあなあ いわいうたんなかの えいしょうえやら しょんがねちゃ どげな いみな』『いみやら なかろうもん ただの かけごえ はやしことばや なかとな』「ねえ、博多祝い歌のなかの、えいしょうえやしょんがねとはどんな意味なの」「意味なんてないだろう。ただの掛け声はやし言葉じゃないのかい」

・・・というわけですが、今回はその意味不明の掛け声部分を無理やり意味づけしょうかと考えとります。では、その博多どんたくの歌。博多祝い歌の一番の歌詞。

1 祝いめでたの若松さまよ 若松さまよ 枝も栄ゆりゃ 葉も茂る

エイショーエー エイショーエー ショーエ ショーエ
アー ションガネ アレワイサソ エーサーソーエ ションガネ (この部分繰り返し)

以下、意味付けと用語説明はすべて日本国語大辞典から。

【エイショー・エー】【エイ・ショーエー】
栄昌:栄えること。
詠唱:節をつけ声をだしてうたうこと。
詠誦:詩歌などを声に出して詠むこと。
昌栄:勢いが盛んで栄えること。
唱詠:詩歌などを吟ずること。
誦詠:詩歌文書などを吟ずること。
賞詠:詩歌などのよさを認めて味わいながら吟ずること。
觴詠:酒を飲み詩歌を吟ずること。

【ションガネ】=しょんがえ=しょんがい=しょんがいな=(ションガネは博多んもん特有かも)。しょうがない・しかたないの意味はなかと思うとります。
俗謡の終わりにつけるはやしことば。しょんがえ節のなかの一節。ここから他のうたにも転用された。
【しょんがえ節】流行歌のひとつ。江戸時代、寛文のころから明治まで、歌詞と曲調を変えてうたわれた。
語源:自分の移住地以外で踊ったところからショガイ(所外)踊の節の義か、またはショガエ(所替)か。他には(勝凱)や(唱歌栄)の文字が当てられたげなです。
【アレワイサソ】
これも、うたの中にはいるはやし詞。♪お江戸日本橋七つ立ち、初上り。行列揃えてアレワイサノサ・・・と同じ。博多とお江戸で同じ掛け声ですたいね。
意味としちゃどうなるとやろ。文献資料が見つからんので、とりあえずへっぱく流に、「あれあれ、どうしましょ、さあさあ、こうしましょ?!」とでも訳しておきましょうか。

・・・とまぁ、こんなところでっしょうか。しょんがね。

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2012年5月20日 (日)

~つね

未収録語シリーズ 百七十一。~つね。
『とざなに ぼたもち いれとっつろう だれが たべたつね』「戸棚にぼたもちを入れてたでしょう。誰が食べたの」

ごくごく日常表現やし、博多弁両事典でも、この「へっぱくBLOG」でもしょっちゅう例文に顔を出す言葉ですばって、項目立てしとらんやったけん、あらためてまとめよります。

【~つね】「~とね」の音転。共通語訳すると、「~したの?!」。博多弁の特徴的な「と」遣いの、もひとつ古い表現というてよかとかな。「食べたと?」=「食べたつ?」ですたいね。例文にも書いた「入れとっつろう」の「つ」は「た」の音転でこれも年寄り語。どっちも自分の親(世代)がよー使いよった表現です。

【とざな】戸棚のことをなしてかこう発音しよりました。「だ」→「ざ」になるとは、他になんかあったっつろうか?!

ただし藤棚は「ふじざな」ちゃ言わんやったですね~。どこに違いがあるとやら。
写真は黒木の大藤。

Fujimideippai

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2012年5月15日 (火)

かしめる

未収録語シリーズ 百七十。かしめる。
『ふろの じゃぐちの ねもとから じわーと おゆの もれよるっちゃばってんが なんか かしめもんの あったかいな』『もんきーで かしめられんな』「風呂の蛇口の根本からお湯が漏れているんだけど、なんか締め道具があったかな」「モンキーレンチで締められないかい」

自分の口からたま~にでてきたり、また聞かれる言葉ですが、どっちかというと工事・工場用語のごたるけん、あまし馴染みのないかもしらんですね。

【かしめる】かしめ、かしめること。日常語的・方言的には緩んだところを締めること。辞書には次のような用語説明がしちゃります。

ボイラーなどの圧力容器の継ぎ目を、かしめたがねを用いて密着させ、内容物のもれを防ぎ気密を保つようにすること。コーキング(日本国語大辞典)。

その「鏨」写真を載せろうかと思ーたとですが、やっぱこっちの方がよかろうや・・・ということで、おまけ写真を可愛く一枚。

Inisieno

普通は巫女さんて言いますばってんが、炊女さん(かしめ:神社に仕え、神に供える供物や神官の食事などを取り扱う女性:日本国語大辞典)とも言うらしかです。

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2012年5月 6日 (日)

そやけん

未収録語シリーズ 百六十九。そやけん。
『そやけん いっとっつろう せんこと せんけん しけん うからんかったり ばちかぶるったいて』「だから言ってただろう。しなきゃいけないことをしないから、試験に通らなかったり、罰が当たったりするって」

簡単すぎたとか、日常語すぎてか、博多弁事典に入れとらんやったごたります。

【そやけん】だから、そう+(理由原因の)だからの意味。関西からこっち、どこでも使われ通用する言葉かと思うとったとですが、そうでもないごたりますね。関西では「そやから」のようで、実際は広島あたりからになるとですかね。どうじゃろ?!

博多では「そいけん」とおっしゃるお年寄りもおんしゃるごたります。また、自分の博多生まれ小倉住まいの親戚のおいさん(80歳オーバー)な「そやけんど」ば連発しんしゃります。自分は使わんけん、博多と北九のどっち寄りの言葉やろかと悩まされとります。

では最後に北九がらみ、筑豊がらみで・・・
そやけん・・・これば聴いちゃんしゃい。

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2012年4月30日 (月)

落つる

えっ、これも方言?シリーズ五十二。落つる。
『がそりんの ねだんも だいぶ おててった ばってんが まだ たいがい たかかなー』『そうたい がそりんな ねだんの おつるまで いれんどこーて いうわけにゃ いかんもんな』「ガソリンの値段もだいぶ落ちてきたけれど、まだずいぶんと高いね」「そうだよ。ガソリンは値段が落ちるまで入れないでおこうというわけにはいかないものね」

【落てる】落ちる。落てん・・・で落ちないこと。
【落つる】落ちること。
実は、当然のこととして、落つるは落ちるの古語・・・とばっかし思うとったとですよ。常識やろ!てな感じでですね。ところがところが、上の「落てる落てん」を調べよるときに、この「落つる」も辞書引いてみたら、この項目がない。ないないない。え~!!!でした。
で、どういうことやろと悩んだとですが、結局は「落つ堕つ墜つ」+「る」のごたります。こげな古語表現が堂々と(田舎住まいなれどもよ~)現代人の口に引き継がれとるとですからすごいことであります。

Yasune01

去年二月の安売り店のガソリン価格。地域一番店というわけですね。だいたい普通よりリッターあたり10円ほど安かっちゃなかですかね。最近ではこの写真の価格が底値やったごたります。東区の吉塚にあります。
自分はたまに糸島市(福岡市よりもやはり10円ほどの安い店がけっこうあります)の方で入れよります。

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2012年4月22日 (日)

早うして

未収録語シリーズ 百六十八。早うして。
『おにごー しよっても あいつな こまかくせい たいがい あしの はよーして だーれも つかまえきらんっちゃもんね』「鬼ごっこしていても、あいつは小さなくせにとびきり足が速くてだれも捕まえることができないだよね」

【はようして】早(速)くて、早いからの意味。「~して」がつくと、たとえば「背のこもーして(=低ーして)棚に届かん・・・といったぐあいに原因理由を表すとですね。
決して、「早くしてちょうだい」・・・の意味ではありませぬ。いや、その意味でも使うけん話はややこしかですね。「急ぎよっちゃけん、出かける準備ば早ようしちゃりやい」「早うしてて言いよるやろ」なんてね。

もひとつ、似た用語用例の博多弁をひとつ。
『そげなこと早うに知っとったばい』の、「早うに~」
【早うに】早くから知っていたよの意味ですばって、とっくの昔から、ずっと以前からというニュアンスの方が強かですかね。

背のこもぉ~して届かん・・・て書きましたばってん、高ーても届かんもんは届かんとです。西新リヤカー部隊通りのアーチペナント。

Komakasiawase

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2012年4月16日 (月)

にやけ

えっ、これも方言?シリーズ五十一。にやけ。
『あん にやけが また きのうも なかすば そーつきよった ばい』『へー そーな そんわりにゃ もてたちゃ きかんな』「あのきどりやが昨日もまた中洲をうろついていたよ」「へえ、そうかい。そのわりにはモテたという話は聞かないね」

【にやけ】きどりや、キザ男、今流行りの表現を使うとチャラ男のこと。よか訳語を見つけきらんとですが、意味としてはそんな感じ。学生んころまでは使いよったですかね。けっこうな悪口になります。
語源としてはむろん「にやける」から出来てきた言葉でしょうが、辞書的には、にやけ=男がなまめかしい様子をすること。また,その男。にやけおとこ(大辞林)とあります。
あと、もうひとつ。博多弁に図にのっている、いばっている、調子にのっている(調子こいとる)という意味の「にやがる」というのがありますばってん、こちらの語源の三味線用語の「にあがり=高調子」も関係しとるかもしらんですね。

ついでにもうひとつ。「ツヤつける、艶つけ男」というとも同じごたる意味ですかね。ま、いずれにしてもひとつもいい意味はありまっせんね。

おまけに昔々いいよった悪口をば。「お~い、三宅~。いつニヤケて名前変えたとや~。また帰りに女子と一緒に帰りよったろーが。おまやぁ中学な○○やら言いよったばってんが、ほんなごとは(二宅中)やろ」なーんて。

はい、最後は、これも博多名物のにやけうろん(違)

P5220019

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2012年4月 9日 (月)

~やっこ

未収録語シリーズ 百六十七。~やっこ。
『ねー あんたたち なんば いいやっこ しよーと』『うん ねえちゃんが たべやっこばいて いうて わがかってい おはなみべんとう ひとりじめ するっちゃもん』「ねえ、あなたたち、何を言い合いしてるの」「うん、姉さんが、食べ比べだよと言って勝手にお花見弁当を独り占めするんだもの」

【~やっこ】~あいこ(相子)のこと。合子でもよかとかな。その「あいこ」が「やいこ・やっこ」と音転したもの。辞書的には、(コは接尾語) 互いに同じ状態で勝ち負けの決まらないこと(広辞苑)とあるとですが、博多弁ではどっちかというと「~くらべ」「~ごっこ」の意味が強いかもです。似た表現に「~ぐっちょ」。
見やっこ・にらみやっこ=にらめっこ。食いやっこ=食べやいこと同じ。他にもあるかいな?脱ぎやっこ、尻見せやっこ。小便まりやっこ・・・だんだんお下品になりそうやけん、これでオシマイ。

Hanamibento

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2012年4月 2日 (月)

~げい

『せんたくもん ほしげい うらにわさい いったら さくらんきから けむしの おちてった はっぱでん たべげー きとったっちゃろか』「洗濯物を干しに裏庭へ行ったら、桜の木から毛虫が落ちてきたよ。葉でも食べに来てたんだろうか」

【~げい】~しに、~するために。理由(由縁・故)を意味する[ゲ・ケ]に、方向(どこに)や目的(何しに)を表わす[イ・ニ]がついて、~ゲイになるとです。~ゲニ・~ゲーゲェとも言います。単純明解博多弁事典に既出ですが、今までなんとなく、~しげい、見げい、食いげい、干しげい・・・のように、~げいは必ずイ音に付くと思いこんどったとですが、例文のごと「食べげー」「猫が舐めげえ来た」などのようにイ音でなくとも付く例があったので、ちっと追加させてもらいました。

Situreina

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2012年3月26日 (月)

やず

博多の食いもんシリーズその三十三。やず。
『ぶりぞうにに しちゃ ちーと きりみの ちいそーなかな こら ぶりやないで やずやないな』『まあ そげん いわんと たべちゃんしゃい あじな よかはずやけん』「ブリ雑煮にしては、すこし切り身が小さくないかい。これは鰤じゃなくてヤズを使ってるだろう」「まあ、そんなこと言わないで食べてくださいよ。味はいいはずだから」

【ヤズ】出世魚ブリの幼魚時の魚名方言。ブリとヤズの中間にハマチ。博多ではサイズの大小よりも、ブリの養殖魚を総じてハマチと呼ぶことが多かごたります。ヤズはあまり養殖魚には使わんみたいな気がしとります。

「福岡縣内方言集」という明治時代の古い方言集の復刻版を見よりましたら、ハマチの和名というのが載っとりました。「波里萬知」と書きよったとですね。ハマチていう呼び名はこげん昔からあったとですね。面白かな~。

Yazuhamachi01


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«ふつ餅