2017年5月22日 (月)

アオナ

博多の食いもんシリーズその五十七。アオナ。
『ふとか あおなの やすかったけん こーてった』『たっか あらんかわりにゃ じゅうぶんやもんね どげんしたっちゃ おいしかもんね』「大きなアオナが安かったから買ってきたよ」「高いアラの代わりに十分なるものね。どう料理してもおいしいものね」

あんまし馴染みがないかもしらんので最初に「アオナ」をご覧にいれときましょう。

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「志摩の四季」や「伊都菜彩」でときどき見かけます。見慣れないせいで売れ残っていたり、最初から安い値段がついていることも多いので、味を知ってる人間はいつも「しめしめ!」ですたいね。

【アオナ】標準和名はアオハタ。青というより黄ハタにしか見えんとですが、なぜか青となっとります。あの高価な(博多弁でアラ)クエに近い仲間ですからおいしくなかはずはなかとです。手前料理をずらずらと。

「刺し身」と「漬け(すり生姜・ごま・醤油・みりんなど)」と翌日の野菜あんかけ用の「素揚げ」。

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ひろちゃん牡蠣のアヒージョとアオナで

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適当につくった名無しスパゲッティ。

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2017年5月15日 (月)

ニオ乾し

未収録語シリーズ三百六十五。ニオ乾し。
『ほうらくまんじゅうに ならんどったらくさ あんまめは におぼしするて かいちゃったっちゃが どっから きた ことば やろかね』「蜂楽饅頭に並んでいたら、餡こになる豆は「ニオ乾し」にすると書いてあったんだが、どこから来た言葉だろうね」

・・・というわけで、博多弁というわけでもないとですが調べてみました。

【ニオ乾し】もともとは稲の乾し方やったごたります。その稲の干し方がそのまま北海道では豆の干し方に転用されたとやないかと想像しとります。

さて語源はというと、まずは「へっぱくBLOG」流のダジャレ説をふたつ。
1:担《にな》う(稲負う・荷負う)乾し。
2:稲覆《おお》う・荷覆う乾し方。稲小積み・稲ぼっち・藁ぼっちのことですたいね。

学術的文献的には以下のとおり。
1:刈稲を円錐形に高く積み上げたもの。稲叢《いなむら》。稲堆《いなにお》のこと。その略(日本国語大辞典)。
2:新穂《にほ》の転(日本方言大辞典)。
3:
新嘗のこと。その堆積場所。吉凶を占うこと。(海上の道:柳田國男:青空文庫)。同書の「稲の産屋」の章に、◆稲村または稲積というものの各地の方言が数多く集められてい た際に、現在なお行われているニホ・ニョウその他これに近い色々の名称は、或いはこの新嘗のニヒではあるまいか◆とありました。

Nioboshi

博多駅「Tジョイ博多」の地下一階、博多阪急の入り口近くに新らしゅう「店」が出とりました。

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2017年5月 8日 (月)

じやく

未収録語シリーズ三百六十四。じやく。
『このごら まちなかでん わっか おなごさんが じやく たべあるき しよんなるが あれじゃ だいえっとも はなよめしゅぎょうも あったもんじゃなかろたい』「このごろは街中でも若い女性がいつも食べ歩きしてるけれど、あれじゃダイエットも花嫁修業もなにもあったもんじゃないよね」

まぁこれが余計なお世話というもんですが、さて「じやく」。

【じやく】いつも。しょっちゅう。常に・・・していること。博多では聞いた覚えがなかとですが、能古島や糸島あたりで使われとる方言のようです(能古島の方言:石橋淙平:能古島小学校1985年発行)。
さて問題はいつものごとく方言の由来。候補の一つが泰然自若の自若《じじゃく》。「平常と少しも変らないこと」という意味がありますね。
もうひとつは持薬《じやく》と餌薬《じやく》でいつも飲んでいる薬。用心のため養生のため普段から用いている薬の意味です。さてどちらが本筋でしょうか。

写真は薬好きな自分用です。まぁ一病息災ならぬ多病息災というところです。

Jiyaku

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2017年5月 1日 (月)

おたからさん

未収録語シリーズ三百六十三。おたからさん。
『おたくの おたからさんな いくつい ならっしゃったと』『したん むすこんこが たんじょうもちいわい したばっかし』「お宅の子ども(孫)さんは何歳になられたの」「下の男の子が餅踏み祝いをしたばかり」

こげんか簡単な言葉を書かんで抜かしとったごたります。

【おたからさん】子どもや孫を宝にたとえた表現。ほら、あれですよ。万葉集の「銀《しろがね》も 黄金《くがね》も玉も 何せむに 優れる宝 子にしかめやも」ですたいね。
【誕生餅(祝い)】も「餅踏み」も両方言いますばってん、誕生餅の方は共通語じゃなかごたりますね。これは知らんかったです。

うちん下の孫のときの様子です。

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おまけ。甘木ばたばた。

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2017年4月24日 (月)

抜かす

未収録語シリーズ三百六十二。抜かす。
『こうはいが おれば ぬかす そのうち ぬかしますて いうっちゃが なんのこっちゃら いっちょん いみの わからん』「後輩が俺を抜かす。そのうち抜かしますと言うんだが、何のことやらさっぱり意味がわからない」

それこそ「何ばぬかしよるとや?!」ですたいね。

【抜かす】追い越すこと。追い抜くこと。まだ共通語とは完全に定着していない若者語のごたりますね。「日本国語大辞典」と「広辞苑第五版」は未収録。大辞林には収録。「明鏡」では俗語扱いのようです。辞書もいろいろと個性があって面白かですね。

では、博多弁では「どう言うか?!」と薄ぼんやりと考えよりましたら、「抜かす・抜かされた」は使わんばってん、「追い抜かす」「追い抜かされた」ちゃ言いますね。とくに「追い抜かされた」の方は「マラソンゴールの最後の最後で追い抜かされてしもーたばい」と一緒に大会に参加した若い友人に言うたことのあったようです。

当時はまだ「ゼッケン」といいよりましたが、ナンバーカード51番。だいぶ若っかときんとです。いま思えばイチローの背番号と同じですね。

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2017年4月17日 (月)

ていしょう

未収録語シリーズ三百六十一。ていしょう。
『ていしょうも なかこと するけん おうじょうするったい やりかぶらんまえい やめときない』「柄にもないことをするからどうしようもなくなるんだろ。失敗する前にやめておくといいよ」

【ていしょう】
身のほど知らず。柄にもないことをする。結果的に甲斐性がないこと。
語源ははっきりしません。
ずらずらと思いつくことを書いてみますか。手衣装(自前の衣服)も用意できない。亭主(らしくもない)。呈上(物を贈ること)もできない。手性(字も上手に)書けない・・・などなど。とりあえず一つにこじつければ「性」なんてのはどうでしょう。
体性は
元々生まれ備わったもの。性格や性質や本質のことですから、それが「ない」ということでしょうね。最近ではもうほとんど聞いた記憶がありませんが、「ふてえがってえ」同様に「ていしょうもかなわん」は博多部の長老さん方の常套句やったです。

博多弁だけでやめときゃよかったとに、糸島弁やらも勉強しだしたもんやけん、毎週毎週の記事で往生しとります。まぁなんとか地理的なもんも(絲・伊都・怡土・志摩・糸島の違いなんてのもね)だいたい頭に入ってきましたばってん・・・。
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2017年4月10日 (月)

きとう

未収録語シリーズ三百六十。きとう。
『おやじから やまんしきたりから さけんのみかたまで ぴしゃーと きとーてもろーてこいて いわれとります』『おう そげんや よかよか しっかり きとうちゃろうたい』「親父から山(博多祇園山笠)のしきたりから酒の飲み方まで、きちんと修行させてもらって来いと言われています」「おうそうか。よしよし、しっかり鍛えてやるよ」

【きとう】修行する訓練する。修行すること、させること。こき使い(使われて)物事を覚える(覚えさせられる)こと。古語の「鍛《きた》ふ」「鍛える」由来の博多弁。

まぁ何にしろ、地域の習わしや地域に伝わる祭りの段取りごとは、長老やおいしゃんたちに「きとうてもらわん」と何もわからんですもんね。

Yamakasaningyo

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2017年4月 3日 (月)

ひょうひょう

未収録語シリーズ三百五十九。ひょうひょう。
『うわー こん ひょうひょうな のらぎいうより おでかけぎもんの ごたる えらい しゃれとんしゃしゃー』「うわー、この筒袖は野良着というよりお出かけ着物みたい。ずいぶんとおしゃれだよね」

【ひょうひょう】筒袖の野良着作業着のこと。
この「ひょうひょう」がどこから来た言葉なのか、この数ヶ月ずっと考えとりました。
国語辞書から方言辞書。ネットの着物事典や和服事典など探しまわりました。
法被《はっぴ》からとか、半臂《はんぴ》とか、半纏《はんてん》がらみからとか。仕舞いにゃ、ひゅうひゅうと吹く風除け着な~んて。

ところが、ふと思いついて手持ちの古い古い(15年前の)「おしかさん」の写真をとりだしてみると、一瞬にして疑問氷解。

Hyohyo

語源由来は「絣々《ひょうひょう》」「飛白《ひはく》=かすり縞」からやなかでしょうかね。正解かどうかはわかりませんが、自分では納得できた気がしています。やっぱし細かく字面ばっかし追っかけとってもダメなんですね。「たまにゃビジュアルからも攻めらんとね~」というとが今回の教訓。

志賀島からの魚行商の「おしかさん」については、「PART1」「PART2」の二回にわけて書いとりますので、よかったらどうぞお読みくださいませ。

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2017年3月27日 (月)

じゅるあめ

博多の食いもんシリーズその五十六。じゅるあめ。
『ひるやすみい じゅるあめんごとなった うんどうじょうで きっくぼーる しよったもんやけん せんせいに たいがい がられたばい』「昼休みに水飴(ぬかるみ)のようになった運動場でキックボールしてたもので先生に嫌というほど叱られたよ」

【じゅるあめ】水飴のこと。じり飴ともいうごたりますね。爺婆店(駄菓子屋)や紙芝居屋で買ーたり貰ーたりしては、割り箸で練りねりして遊びよりましたね。
もっとも博多弁らしい横綱クラスの「しろしい」の基になった古語「汁《しる・じる》い」の名詞形。似た形で「じゅる田=水はけの悪いたんぼ」や「じり耳=耳垂れ症状」などがあります。

写真は現役のじゅる飴。煮物に甘みや照りや粘りをつけるときに使います。子ども一家が集まったときに小皿で出してみると、子は覚えとったみたいで匙で混ぜて白くしよりました。
まぁ自然食だからと孫にも舐めさせると、最初は不審顔でしたが一瞬でにっこりと・・・。

Mizuame

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2017年3月20日 (月)

みつがの・みつがな

未収録語シリーズ三百五十八。みつがの・みつがな。
『みつがの とおるときゃ ちゃーんと つじの こうしんさん おがんで こなばい』「三叉路を通るときは道端の庚申さんをしっかりと拝んでくるんだよ」

【みつがの・みつがな】三つ角・みつまた・三辻・三叉路のこと。
「むかしの生活誌(春日市郷土史研究会)」を読ませてもらうまで知らん言葉やったです。

単純に三つ角の訛りとも考えられそうですが、なんかもっと座りのいい語源解釈がなかかと考えてみました。

「みつ」は三つか、「道」の訛りか。そのいくつか候補をあげてみます。
三つでは、「みつが野」「みつが(字)名」。道では、「みち鼎《かな》」「みちが守《も》」。道が守が例文の庚申さん。

【こうしんさん】庚申塔庚申塚のこと。道祖神信仰とも重なり、村の入口、三叉などに村の守り神、行路の安全のために祀られることが多かですね。

Koshinzuka

これはたしか糸島市染井神社の近くにあったと記憶しとります。

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